皮下注射

◆皮下注射の目的
皮下組織内に薬液を注入します。
インシュリンの注射、予防接種、インタ
ーフェロン等ゆっくりと吸収させた方が
いい場合に実施されます。


●注射針のサイズ
24G 25G 26G 27G    
インシュリンの場合は、31G~33Gを
使用するケースが増えています。


●注射する部位
上腕の外側、大腿部(太もも)、
臍部(お臍の周り)、殿部・臀部
(おしり)などです。

上腕外側では肩峰と肘頭を結んだ正中線
の下1/3、肘から1/3上のところになります。

上腕の外側が多いですが、上腕部に注射
できない場合や定期的に注射している
場合等は、大腿部や臍部(お臍の周り)
臀部等に注射します。

インシュリンの注射で自己注射する場合は
臍部(おへそ)の周りが多いようです。


●注射液の量
0.2ml~2ml
量は目安です。
年齢や薬液の種類で異なります。


●注射針挿入時の角度
10~30度の角度

皮下組織の状態によっては、上記以外の
角度で刺入する場合もあります。皮下組
織が厚くてつまみ上げることが出来ない
場合は90度の角度で刺す場合もあります
その時は、刺入の長さは短くなります。


☆注射針の刺入深度(長さ)
注射針を刺す深さ(長さ)は刺す角度によって違ってきます。
注射する部位の皮下組織をつまみあげて
充分な厚みがあることを確認することが大切になります。
正確に把握するためには、皮脂厚を測定
する必要があります。
大まかで簡単な測定方法としては、つま
んだ時の指と指の間の厚さを測定します
1cm以上あることが必要とされています。
男性は女性よりも皮下組織(殆どが脂肪)が少ないため、注意が
必要です。又、やせている人や栄養状態の悪い人も注意が必要です。
上腕に適切な部位がなければ、より皮下
脂肪の多い臀部などに実施します。

刺入の長さの目安としては、
5mm~15mm 又は注射針の1/4~2/3。
角度が小さくなるほど長く刺す必要があります。
直角に刺す場合は 5mmほど。

文献により数値には幅があります。経験上
皮下組織をつまみ上げて厚みを確認し、
30度くらいの角度で10mm前後針を刺すと
手技の面からもやりやすいような気がします。

穿刺部位や皮下組織の状態等によって角度は一定ではありません。
角度によって刺入する長さは異なります。
又実施する人の手技の面からも異なる場合
があります。
針の長さ自体もサイズやメーカーにより異なります。


●注射後のマッサージ
軽く押さえるか、軽くマッサージする程度。

マッサージをしてはいけない薬液もあるため、確認が必要です。
皮下注射の場合はゆっくりと時間をかけて
体内に吸収させるのが目的なのでマッサー
ジは殆どしないことが多いです。


●注意すること
針を刺した後、神経に触れた場合は、
ビリッとしたしびれ感が走るので確認します。
血管に針が刺さった場合は注射器の内筒
を引くと血液の逆流が見られます。
上記の徴候がみられたら、速やかに針を抜きます。
穿刺時、穿刺後は必ずしびれ感や血液の
逆流がないか確認してから、薬液を注入
します。又、注射後時間が経過してから
神経麻痺の症状が出ることもある為、注意が必要です。
薬液の注入はゆっくりと。


皮下組織の厚さ
薬液の吸収効率の面から皮下脂肪の厚さ
は少なくとも5mm以上は必要とされているようです。

注射針の長さ
注射針の針の長さは、16mm, 25mm,
32mm, 38mmなど、針のサイズやメーカーなどにより様々。

皮膚の構造
体の表面から順に表皮 真皮 皮下組織
から成り立っています。
皮下組織の下が「筋肉」になります。
体表面に近いほど、体内への吸収が速度が遅くなります。
吸収速度が違うことにより、目的も違ってきます。


続きはこちらです→ 筋肉注射

注射と穿刺 項目一覧


◇参考文献
書籍
「写真でわかる基礎看護技術① 看護技術を基礎から理解!」
インターメディカ p20~p26
「最新医学大辞典」医歯薬出版株式会社

インターネット
ウィキーペディア
ja.wikipedia.org/wiki/注射