熱中症について


◆熱中症とは?

気温の高い環境の中にいると、体温調節
機能が働き、体温を下げようとします。
体温を下げる為に、汗をかいて熱を放出
させたり、末梢血管を拡張させて熱を
下げようとします。
この様な状態が続くと、水分や電解質が
徐々に失われてきます。そうなると体温
調節がうまく働かなくなり、熱が体内に
こもってしまい、体温が上昇します。
このように主に外気温や運動等によって
体温が上昇することを熱中症と呼んでいます。

熱い時期だけではなく、寒い時期でも
長時間の運動などで熱中症に罹る可能性はあります。


◆熱中症の症状

熱中症の症状は三つに分類されています。

Ⅰ度(軽症)
熱失神
めまい・失神(たちくらみ)

熱痙攣
筋肉痛・筋肉の硬直(こむら返り)
大量の発汗


Ⅱ度(中等症)
熱疲労
気分不快、頭痛、吐気、嘔吐、倦怠感、虚脱感 など


Ⅲ度(重症)
意識障害・痙攣・手足の運動障害 
歩けない、体ががくがくする、意識レベルの低下など
高体温(熱射病又は重度の日射病) 


◆熱中症の予防

熱中症が起こりやすい環境は温度や湿度
が高い、風が無いか弱い、輻射(太陽光など)などの要因があるようです。

<熱中症の予防ではまず暑さを避けるか環境の改善が大切です>
●外出時
・外を歩くときはなるべく日陰を歩く
・日傘の使用 ・帽子の着用
・なるべく陽射しの強い時間帯は外出を
 避ける。

正午を挟んで前後2時間は外出を避けたほうが安心


●屋内
カーテンやすだれ、ブラインドなどで窓からの日光を避ける。
エアコンや除湿機(湿度が高い場合)などの利用。
*扇風機を利用して対流させる。

★屋内での重症の割合が屋外よりも高いようです。
暑い屋外ですと、気分が悪くなったり、
倒れたりすると熱中症をすぐに予想出来
ますが、屋内では他の病気を疑って、
熱中症にあまり気づかないことが多いようです。
      
●服装
下着は吸水性のよいもの。
通気性、吸水性、速乾性、軽くて涼しい素材のものを着用。
襟元はなるべくゆるめて通気を良くする
*クールビズなど


<水分、塩分補給について>
大量の汗をかいた場合は、水分と一緒に塩分を必ずとる。
スポーツドリンクなどミネラルの補給。
少量の糖分があると水分の吸収が良くなる。
お茶、コーヒー、紅茶などは利尿作用があるので飲まない方が良い。
ビールも利尿作用があるのでなるべく飲まない。

●高齢者の場合
普通は体の水分が足らなくなるとのどが渇いてきます。
高齢者の場合は各機能の衰えで、のどの
渇きも起こりにくいとされています。
又、暑さも感じにくくなるといわれています。
その為、のどの渇きがなくても、早めに
水分を補給することが大切になります。
加齢と共に体全体の水分の割合も減少
するため、こまめに水分を補給することが大切です。
寝ているときにも注意が必要です。
寝る前の水分補給(寝る時には枕元に置
いておく)や、入浴前後の水分補給も必要になります。

●小児の場合
子どもはよく体を動かします。運動する
ことにより熱が産生されます。子どもは
良く汗をかきますが、汗をかいて熱を
放出しています。その為、大人よりも
水分を多く失います。又、遊びや運動等
に夢中になっていると、のどの渇きも
忘れることがあります。
体温調節機能も未発達なため、体温が上昇しやすくなります。
厳しい暑さが続いているときは意識して
こまめに、水分補給をさせることが大切になります。
食事も野菜スープなど、塩分やその他の
ミネラル分を意識して多く摂る様にすることが大切になります。


◆熱中症に罹り易い時期

真夏日は当然として、冷夏や梅雨の
中休み、梅雨明けの時期にも注意が必要です。
暑さにまだ体が慣れていない時期に
急に暑い日が続くと、熱中症に罹る人が多いようです。


◆熱中症に罹り易い人

高齢者
高齢になると気温に対する感覚が鈍ってくる為。

子供
汗をかきやすい。
特に乳幼児の場合は体温調節機能が未熟のため注意が必要です。

暑さになれていない人
発汗作用などの機能が衰えている為

運動不足の人
運動などで汗をかくのに慣れさせる必要があります。

体調不良、睡眠不足、肥満、病気の人など


◆熱中症に罹ったら

まず第一に、涼しいところで安静にします。  
木陰や日陰、風通しのよいところ、クーラーのきいている部屋等。  

次に、体を冷やします。  
衣服を脱がせる。
扇風機やうちわなどで風をあてて、熱を奪う。   
氷嚢などで体を冷やす。

大きい動脈が触れる頸部、太腿のつけ根
腋窩(脇の下)などを冷やすと効果があります。
霧吹きなどで体を濡らして熱を下げる方法もあります。 水分が蒸発する時に熱(気化熱)も一緒に奪われます。


水分、塩分の補給 
水分の補給は意識がはっきりしている場合にします。   
少しでも意識の低下がある場合は誤嚥を
避ける為に水分補給はしないほうが安全です。
嘔吐や吐き気がある場合も口からの水分
補給は避けます。
弱っている胃を刺激することでさらに、
嘔吐や吐き気を誘発してしまう危険があります。  

意識が低下している場合や嘔吐、吐き気
などの症状がある時は、すぐ病院へ搬送又は救急車を呼びます。



体温項目一覧



◇参考文献
インターネット
環境省HP内
熱中症予防情報サイト
http://www.wbgt.env.go.jp/
熱中症を防ぐためには PDF
http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual/003-1.pdf
厚生労働省HP内
職場における熱中症の予防について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/06/dl/h0616-1b.pdf