脈拍の測定方法


基本的にはどの部位の動脈も3本の指
(示指、中指、環指)で触診します。
3本の指の腹を動脈に沿ってあてます。

◆橈骨動脈

橈骨動脈を触診する場合は、手関節
(内側)の少し下の親指側を、人差し指
(第二指、示指)、中指(第三指)、
薬指(第四指、環指)の3本を揃えて、
動脈の走行に沿ってあてます。
3本の指の腹を動脈の真上にあてます。
親指は手首の裏側にあて軽く支えます。
橈骨動脈での触知がしにくい場合は
上腕動脈で測定してみます。

*乳幼児の場合は上腕動脈の方がわかりやすいことが多い。

◆上腕動脈

上腕動脈の場合は測定する上肢の前腕を
保持し、肘関節の数センチ上の内側に
3本の指(示指、中指、環指)をあてます。
動脈の走行に沿って、少し押さえこむ様にして触知します。
少し力をいれて触知します。
わかり難い場合は、肘を伸ばして触知してみます。
上腕動脈でも触れにくい場合は、下肢の動脈で測定します。

◆大腿動脈

対象者を仰臥位にした方が触知し易いです。
仰臥位で両下肢を伸ばした状態で触知します。
下肢の緊張をとる為に、下肢を少し外転
(外側に開く)させます。
大腿の中央より少し内側の鼠径部に3本
の指をあてます。
少し力を入れて触知してみます。

大腿動脈の触診は緊急時やショック時等
に脈拍の有無や性状、血圧の大まかな
目安を把握する時に、触知する場合が多いです。
心臓の検査や肝臓の治療を、実施する時
にも大腿動脈を触知します。

◆膝窩動脈

膝関節を両手で持ち上げます。その際に
両手の3指を膝蓋骨の裏側にあて持ち上
げるようにして触知します。
深いところにあるため、しっかりと押し
込んで確認します。
血行障害の有無や程度、血圧測定時に
触知する場合があります。

膝窩動脈より末梢の動脈(後脛骨動脈や
足背動脈)が触診できれば膝窩動脈を測定
する必要性は通常ありません。
下肢の血圧を測定する時には膝窩動脈の
触知が必要な場合があります。


◆後脛骨動脈

対象者を仰臥位にし、足もとに立ちます
内踝の下の方(アキレス腱の方)から
内踝に向かってさしこむようにして3本
の指の腹をあてます。
左右差を確認します。

◆足背動脈

対象者を仰臥位にして、両下肢を伸ばしてもらいます。
足背の中央あたりに3本の指の腹をあてます。
親指は足の裏において支えます。
足の第二趾と第三趾の間あたりを、
上(足首の方)に指で辿っていくと
触れを感じます。

上肢の動脈(橈骨動脈・上腕動脈)が
外傷等で触知出来ない場合は下肢の動脈で触診します。
足背動脈や後脛骨動脈で、脈を確認します。

足背動脈の触診は通常、下肢の動脈硬化の
診断や大腿動脈でのカテーテル検査や治療
などの前後に触診します。
循環障害の有無を確認するには左右の動脈
を同時に触知し、比較します。
皮膚温も確認します。
左右差がある場合は、血圧を測定します。


◆総頸動脈

右側の総頸動脈を触知する場合は対象者
の頭を左側に少しだけ倒します。
総頸動脈の場合は1~2本の指を当てて
触知する場合もあります。

総頸動脈で脈拍数を測定することは通常しません。
又、左右同時に触知することも通常しません。

緊急時やショック状態などで脈拍の有無
や性状を確認するために触知する場合が多いです。

*循環器疾患で診断に必要な時は触診します。

◆浅側頭動脈

こめかみのあたりをに3本の指をあてます。
少し力を入れて触知します。
確認しにくいです。

◆尺骨動脈

手首(内側)より少し下の小指側に、
3本の指をあてます。
橈骨動脈より、確認しにくいです。
少し、力を入れて触れると、拍動を感じます。

総頸動脈の触知
総頸動脈では脈拍数の測定は通常、
しません。頸動脈の触診は、他の部位の
触診が困難な場合に通常実施されます。
血圧が低い場合は、心臓に遠い動脈では
触知出来なくても、心臓に近い太い動脈
(総頸動脈や大腿動脈など)で触知出来
る場合があります。
緊急時やショック時等に、脈拍の有無や
性状、血圧の大まかな目安を把握する時
に触知する場合が多いです。
緊急時やショック状態などで血圧が低下
している場合は、心臓により近く、すぐ
触知出来る部位は総頸動脈になります。
大腿動脈の場合は、衣服などに被われて
いることが多い為、すぐ確認できる動脈
は総頸動脈になります。


下肢の動脈触知
上肢の動脈(橈骨動脈・上腕動脈)が
外傷などで触知出来ない場合は足背動脈
や後脛骨動脈で触診します。
下肢の血行障害などが疑われるときや
血圧測定時に下肢の動脈を触知することが多いです。

乳幼児の動脈触知
乳幼児の場合は、橈骨動脈が触知し難い
場合が多い為、他の測定部位を把握して
おきます。
上腕動脈や総頸動脈、浅側頭動脈、大腿
動脈などが比較的触れやすいようです。
新生児や乳児の場合は、心拍の聴診の方
がより正確に把握できます。

触知し易い動脈
心臓に近い方が、血管が大きく拍動を
より強く感じることができるため、総頸
動脈や大腿動脈は、通常、確認しやすいです。
橈骨動脈や足背動脈は心臓から遠くに
ありますが、体表面に近く、浅いところ
を走っている為、確認しやすいです。

脈拍の触知が可能な血圧の数値
動脈の部位により大まかな血圧を
把握することが出来ます。
大まかな目安(収縮期血圧)
橈骨動脈が触知出来れば 80mmHg以上はある。
大腿動脈が触知出来れば 70mmHgはある。
総頸動脈が触知出来れば 60mmHgはある。
血圧が60より低い場合は総頸動脈でも
触知出来なくなります。
血圧計がない場合や緊急時の場合は、
血圧をすぐ把握することが出来ます。
ショックなどで血圧が低下している場合
は、心臓に遠い動脈では触知出来ない
場合があるため、より心臓に近い動脈を
順に触知してみます。

続きはこちらです→ 脈拍数の測定時間と注意点など






◇参考文献
書籍
「わかって身につくバイタルサイン」学研 2013年 p46~p49 p60
「フィジカルアセスメント ナースに必要な診断の知識と技術」第4版 医学書院 2007 p27~p30 p80~p83
「ナース必携最新基本手技AtoZ」EXPERT・NURSE 保存版 小学館 1994 p27~p30
「介護職員等のための医療的ケア 喀痰吸引・経管栄養等の研修テキスト」p50 p51
「イラスト救急処置マニュアル」南江堂 p76 p77
「人体生理学ノート」金芳堂 p86 p87
「家庭医学大百科」主婦の友社 p1232
「ゼロからわかる救急・急変看護」成美堂出版 2013年 p31

インターネット
http://ja.wikipedia.org/wiki/拍動
http://ja.wikipedia.org/wiki/心拍数
http://ja.wikipedia.org/wiki/不整脈