心電計の操作パネルの大まかな名称と役割

 

機種により装備されている機能や名称等は異なります。
ここでは大まかな名称と役割を記載しています。


◆電源スイッチ(キー、ボタン)
電源コードやアースコードの接続を確認
した後、電源を入れます。

◆記録開始・停止(スタート/ストップ)スイッチ(キー、ボタン)
記録の開始や停止時に操作します。

◆誘導切替スイッチ(キー、ボタン)
12誘導の切り替えをします。
機種により同時に記録される誘導数
(チャンネル数)は異なります。
自動で切り換わる機種もあります。

◆感度調節スイッチ(キー、ボタン)
記録時の感度(波形の振幅)を調節します。
最初は標準感度 10mm/mV に設定します。
対象者の波形のフレが小さかったり
大きかったりした場合は調節します。
1/2、1、2、の3段階に調節できる
機種が多いようです。
フレが大きい場合は1/2に、小さい場合
は2に調節します。

◆紙送りスイッチ(キー、ボタン)
記録用紙の速度を調節します。
最初は標準速度 25mm/sec に設定します。
必要に応じて速度を切換えることができます。
機種により異なりますが、
5 10 12.5 25 50mm/sec の
5段階に速度を切り換えることができる
ものもあります。

◆雑音フィルタのスイッチ(キー、ボタン)
雑音を除去し、きれいな波形を記録する
時に使用します。
雑音フィルタにはハムフィルタ、筋電図
フィルタ、ドリフトフィルタ、ハイカッ
トフィルタなどがあります。
機種により装備されているフィルタの数
又は種類は異なりますが、ハムフィルタ
は殆どの機種に備わっています。
必要な時だけONにします。
記録する前は必ず雑音の原因を取り除い
ておきます。
雑音が入った波形が記録された場合は
その雑音に合った原因を再度確認して
除去するか、雑音フィルタをONにします。

より正確な波形を記録するためには
事前に雑音に対する対策を実施しておく
必要があります。
詳細は下記をご参照ください。
心電図の雑音(ノイズ)について

◆較正電圧スイッチ(キー、ボタン)
感度を確認する時に操作します。
このとき描かれる波形を較正曲線
(キャリブレーション)といいます。
標準感度が1であれば、1mV=1cmの振れになります。
感度が1/2であれば、1mV=0.5cmの振れになります。
感度2であれば、1mV=2cmの振れになります。
最初は1mV=1cmの標準感度に合わせます。
各誘導に必ず較正曲線を入れます。
較正曲線は心電図のT波の終わりから
P波が始まるまでの平坦部に入れます。

◆熱ペン位置調整ツマミ
記録時の熱ペンの位置を調節する時に操作します。
それぞれの誘導(チャンネル)の波形が
記録紙の中央に描かれるように調整します。

◆熱ペン温度調整ツマミ
熱ペンの温度を調節する時に操作します
波形の色が濃かったり、薄かったりした
場合に調整します。
温度が高いと濃くなり、低いと薄くなります。

◆インスト(INST)スイッチ(キー、ボタン)
対象者に装着した電極からの生体信号が
心電計内の増幅器に流れるのを遮断する
と同時に、増幅回路やフィルタの電荷を
放電させる役割があります。その為、
出力電圧はゼロになります。
較正曲線や熱ペンの調節、記録用紙の
状態などを確認する時にはインストを
ON(出力電圧をゼロ)にします。


熱ペン直記式記録器の原理
ペンの先を熱して、感熱記録紙に波形を
記録する装置です。
増幅された電気信号によって熱ペンが動きます。
一定の速さで送り出される記録紙に、
熱せられたペン先が触れることで、
波形が描かれます。

心電計の記録方法の種類
心電計の記録方式には、
熱ペン直記式(感熱紙を使用)
サーマルヘッド式(感熱紙を使用)
インクジェット式、インクペン式などがあります。
新しい心電計の記録方法には、
サーマルヘッド式が多く使用されてきています。


続きはこちらです→ 心電図検査の実施手順 概要






心電図項目一覧


◇参考文献

書籍
「心電図・ナースのためのワークブック」金芳堂
「ナース必携最新基本手技AtoZ」EXPERT・NURSE 保存版 小学館
「ナース必携・心電図マニュアル」 臨時増刊号 保存版 小学館
「写真でわかる基礎看護技術②」株式会社インターメディカ
「最新医学大辞典」医歯薬出版株式会社

インターネット
ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/心電図