咳を静める方法② 吸入


内服薬と違って、気道に直接作用する為
即効性があります。
咳の原因である痰を、気道から排出する
ことで、咳の回数や程度を軽減させます
痰の切れが悪かったり、気道が乾燥して
いる時などは喀出が困難になります。
咳の原因は様々ですが、痰が貯留する
ことで咳を誘発している場合もあれば、
気道が乾燥して、気道粘膜が正常に機能
していない場合などにも、咳が誘発されます。
気道が乾燥していると健康な人でも空咳
が出たりします。
病的な原因などで痰が多い人は疾患その
ものの治療と同時に、痰をスムーズに
排出させる手助けも必要です。
痰を出しやすくするための方法の一つに
吸入があります。
吸入は気道を加湿することで、痰を軟ら
かくし(粘稠度の低下)、気道粘膜の
線毛運動を促進します。
又、痰の粘稠度を低下させたり痰を薄め
たりする吸入薬を使用すると、痰のキレ
がさらによくなり、スムーズに喀出されます。

空咳の場合は気道に潤いを与えることで
気道粘膜の機能を正常に保てます。


●吸入薬の種類 

吸入薬には気管支喘息やCOPD(慢性閉
塞性肺疾患)などに使用される薬もあり
ますが、ここでは主に痰の切れをよくし
気道に潤いを与える薬液をまとめています。

アレベール吸入用溶解液0.125%
(一般名:チロキサポール)
吸入液として広く使用されています。
界面活性作用があり、他の薬の希釈や溶解剤です。
エアゾル粒子を均一化し、蒸発を抑制す
ることでエアゾル状態を持続し吸入効果
を高めます。
痰の表面張力を弱め、痰を軟らかくする
作用もあります。
超音波式の吸入器では単独では霧化しにくい様です。

ビソルボン吸入液0.2%(一般名:ブロムヘキシン塩酸塩製剤)
気道粘液溶解剤。
気道からの漿液性の分泌液を増加させ、
痰をうすめて粘りをとります。
気道粘膜の線毛運動をよくして痰の排出を促します。
生理食塩水などで希釈して使用します。
古くから使用されている薬です。

アレベールやインタールとの配合では白濁
する為、避けます。

添加物にパラオキシ安息香酸メチル
(パラベン)が使用されている為、
アスピリン喘息の患者さんには禁忌です。


生理食塩液(一般名:塩化ナトリウム)
約0.9%の食塩水です。
気道に潤いを与え、粘膜をきれいにして
痰の排出を助けます。
単独でも使用されますが、主に他の薬の
溶解や希釈として利用されます。

一般家庭で手軽に利用できる吸入液として
は、蒸留水や生理的食塩水等があります。
生理的食塩水のほうが人体には優しいです


痰の排出方法
痰の排出を助ける方法には薬物療法
(内服薬、吸入、貼付)以外に
体位変換、体位ドレナージ、タッピング
うがい、水分補給など色々あります。
体位変換や体位ドレナージは重力を利用
して痰を移動しやすくします。
タッピングやバイブレーションなどは痰
を剥がれやすくします。
うがい、水分補給、加湿等は気道の乾燥
を防ぎ、気道粘膜の働きを維持します。

気管支喘息に使用される吸入薬(商品名)
喘息などで使用される吸入薬は、ステロ
イド剤をはじめ、β₂ 刺激剤、抗アレル
ギー剤、抗コリン剤などがあります。
ステロイド剤は気道の炎症を抑える作用
があります。
炎症の起因物質を減少させたり粘液分泌
抑制作用などもあります。
β2 刺激剤はβ₂アドレナリン受容体に
作用して平滑筋を緩め、気管支を広げる
作用があります。
抗アレルギー剤は、アレルギーを引き起
こす物質の作用を、抑制する働きがあります。
抗コリン剤は副交感神経を抑制する働きがあります。
アセチルコリンの結合を阻害し気管支の
収縮を抑制する働きがあります。

吸入ステロイド薬(ICS)には
キュバール、オルベコス、フルタイド
パルミコートなどがあります。
β2 刺激剤にはベネトリン、メプチン、
アスプール、イノリン等があります。
吸入ステロイド薬と長時間作用性β₂ 刺
激薬(LABA)の配合剤にはアドエア、
シムドコート、フルティフォーム、
レルベアがあります。
抗アレルギー剤にはインタール、イノリン等があります。
抗コリン剤にはスピリーバ、レスマット等があります。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)に使用される吸入薬
抗コリン剤が使用されています。
シーブリ吸入用カプセル50μg、
ウルティブロ吸入用カプセル
スピリーバ吸入用カプセル18μg、
アノーロエリプタ7吸入用
スピオルトレスピマット28吸入
などがあります。

アスピリン喘息とは?
アスピリンの他に、非ステロイド性抗炎
症薬(NSAIDs)にも過敏に反応して誘発
される喘息発作。
成人喘息の約10%がアスピリン喘息で
その4割は潜在しており、非ステロイド
性抗炎症薬を投与されて初めて、気づく
場合もある様です。
気管支喘息患者に非ステロイド性抗炎症
薬を投与する時は注意が必要です。

アロテック(オルシプレナリン)の販売中止
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会
社が2010年10月末までに販売中止を発表。
アロテックは1962年以来、40年以上販
売された薬剤です。
気管支拡張剤として喘息や気管支炎など
の治療薬として使用されていました。
気管支を拡張する作用だけでなく心臓の
刺激伝導障害にも適応があり、内服薬や
注射薬では、心ブロックやアダムストー
クス症候群にも処方されていました。
交感神経を興奮させ、頻脈や動悸などの
発生リスクがあり、特に心臓病や高血圧
などの持病がある場合は慎重に投与されていました。
販売中止の理由としては、現在では頻脈
や動悸などの発生リスクがより少ない
治療薬が入手できるのと、心臓の刺激伝
導障害の治療の主流がペースメーカーに
なっていることなどです。

界面活性剤とは?
水になじみやすい部分と油になじみやす
い部分を併せ持つ物質のこと。
界面活性剤を使用すると水になじみ易い
物質(親水性物質)と油になじみやすい
物質(疎水性物質)を均一に混合させる
(界面活性作用)ことが出来る。
表面張力を弱める作用がある。

肺の界面活性物質
肺表面活性物質(肺サーファクタント)
肺胞壁でつくられる。
表面張力を低下させる働きがある。
表面張力を低下させることで肺胞の虚脱を防止。

表面張力とは?
液体又は個体の表面を、できるだけ小さくしようとする力。

界面とは?
液体や固体の相が他の相と接している境界。

続きはこちらです⇒ 咳を静める方法③ 環境整備


開設日:2018/12/6






◇参考文献
「写真でわかる臨床看護技術②」(株式会社インターメディカ)p37
「実践できる在宅看護技術ガイド」(学研)p117
「一歩先ゆく呼吸リハビリテーション」(メディカ出版) p217
「呼吸器看護ポケットナビ」(中山書店) p79 p83
「「最新医学大辞典」医歯薬出版株式会社 p185 p1132 p1134

インターネット
一般社団法人日本呼吸器学会サイト内
治療の進歩1-吸入ステロイド薬ー
http://www.jrs.or.jp/quicklink/journal/nopass_pdf/ajrs/003020162j.pdf
咳嗽に関するガイドライン第 2 版 p16
http://www.jrs.or.jp/uploads/uploads/files/photos/1048.pdf

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)サイト内
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/
アレベール吸入用溶解液0.125%
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2259801X1037_1_02/
ビソルボン吸入液0.2%
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2234700G1051_2_01/
インタール吸入液1%
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/780069_2259701G1063_2_03
ベネトリン吸入液0.5%
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/340278_2254700G2034_1_06
イノリン吸入液0.5%
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/430920_2259700G1034_2_01
シーブリ吸入用カプセル50μg
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/300242_2259712G1029_1_10
ウルティブロ吸入用カプセル
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/300242_2259805G1027_1_09
スピリーバ吸入用カプセル18μg
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/650168_2259709G1027_1_14
アノーロエリプタ7吸入用
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/340278_2259806G1021_1_06
スピオルトレスピマット28吸入
http://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuDetail/ResultDataSetPDF/650168_2259807G1026_1_06

おくすり110番サイト内
http://www.jah.ne.jp/~kako/
アロテック吸入液2%
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se22/se2252703.html

フリー百科事典ウィキペディア(Wikipedia)サイト内
https://ja.wikipedia.org/wiki/交感神経β2受容体作動薬
https://ja.wikipedia.org/wiki/抗コリン薬
https://ja.wikipedia.org/wiki/鎮咳去痰薬
https://ja.wikipedia.org/wiki/パラオキシ安息香酸エステル
https://ja.wikipedia.org/wiki/界面活性剤

厚生労働省サイト内
喘息等治療薬オルシプレナリン製剤の販売中止について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000si5v.html
アロテックR(オルシプレナリン)製剤の販売中止の決定について
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000si5v-img/2r9852000000si7c.pdf
アスピリン喘息 p1 p5
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/11/dl/tp1122-1b07.pdf
小児気管支喘息の薬物療法における適正使用ガイドライン p6
https://www.mhlw.go.jp/topics/2006/07/dl/tp0727-1a.pdf

独立行政法人 環境再生保全機構サイト内
セルフケアのための喘息、COPDのおもおもな治療薬
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/03/pdf/archives_26914.pdf

オムロン公式サイトネブライザーねっとサイト内
https://store.healthcare.omron.co.jp/nebulizer-net/medical/index.html