各中水準消毒薬の説明


中水準消毒薬の種類には
アルコール製剤、
ポビドンヨード製剤(ヨウ素剤)、
次亜塩素酸ナトリウム製剤 等があります。

◆アルコール製剤
<微生物に対する効果>
芽胞を除いた細菌、結核菌、真菌
一部のウィルスに有効。

70%~80%の濃度が効果が最も
高いとされています。
アルコールの場合は濃度が高すぎる
と反対に殺菌力は低下する様です。


<用途>
短時間で効力を発揮します。又、
揮発性が高いため早く乾きます。
そのため採血や注射等を実施する
時の皮膚の消毒に多く使用されています。
他にも手指の消毒、医療機器等の
消毒にも使用されています。
ゴム類やプラスチック類、光学機
器類などは変質する場合もある様
です。

粘膜や傷のある部位には使用しません。


<注意すること>
同じ部位に繰り返し使用した場合
は皮膚があれる場合もあります。
アルコールにアレルギーのある人は使用しません。
揮発性が高く引火する危険もある
為、電気メスの使用時など、電気
火花や火気には注意が必要です。


◆ポビドンヨード製剤(ヨウ素剤)
<微生物に対する効果>
芽胞を除いた細菌、結核菌、真菌
一部のウィルスに有効。

<用途>
ポピドンヨードは主に人体(手指
皮膚、粘膜、創傷、熱傷、うがい
薬など)の消毒薬として使用されています。

直接皮膚に塗布して使用しますが、
十分な効果が現れるまでに多少時間
が必要です。10秒から60秒かかる
薬剤もあります。
通常は薬剤が乾くのを待ちます。


<注意すること>
甲状腺機能の異常や重症の熱傷患
者さんに使用する時は慎重に使用
します。ヨウ素が含まれている為
血中濃度に注意する必要があります。
大量の使用や長時間の接触により
皮膚の炎症や変色が見られること
があるため、消毒後は綺麗にふき
取るか乾燥させます。

*ポピドンヨードの脱色方法
ヨウ素による着色は皮膚の場合は、
チオ硫酸ナトリウム(商品名:ハイ
ポアルコールなど)を塗布すると、
色が綺麗におちます。
衣類についた場合は水で綺麗におちます。



◆次亜塩素酸ナトリウム製剤
<微生物に対する効果>
芽胞を除いた細菌、結核菌、真菌
一部のウィルスに有効。

菌の量が多くなければ芽胞にも有効
とされています。
濃度を高くし浸漬時間を長くするこ
とにより芽胞にも有効とされている
ようです。その為、高水準の消毒薬
として利用されることも。


<用途>
用途は幅広く、皮膚、手指、医療
機器、リネン類、便器、尿器、
排泄物、環境衛生(病室や手術室
の床、ベッド、家具、物品等)
プール水等に使用されています。

金属類、革製品、光学機器などは、
変質する場合もある様です。
特に金属類は錆びるものもある為、
使用しないほうがいい様です。


<注意すること>
次亜塩素酸ナトリウムは強アルカ
リなので、酸性の溶液との混合は
禁忌です。塩素ガスを発生し人体
に害を与えます。
原液又は高濃度の液が皮膚などに
付着した場合は、炎症などを引き
起こすため注意が必要です。
付着した場合は直ちにふき取り、
石鹸と水で洗い流します。
低濃度でも皮膚や手指に使用した
場合は、肌荒れを起こすことも。

アルコール製剤 商品名(販売名)例
消毒用エタノール
70%イソプロパノール
70%イソプロピルアルコール
など 他にも多くの種類が使用されています。

ポビドンヨード製剤
イソジン、ネオヨジン など
他にも多くの種類が使用されています。

次亜塩素酸ナトリウム製剤
テキサント消毒液
ヤクラックス消毒液
ミルトン
ピューラックス
ハイター など
他にも多くの種類が使用されています。

家庭でよく使用されているハイター
は医薬品ではありませんが次亜塩素
酸ナトリウムの濃度が同じであれば
同等の効果は期待できるようです。
医療機関向けのハイターも販売されています。


続きはこちらです→ 低水準消毒薬 概要


 

 

洗浄・消毒・滅菌 項目一覧

 


◇参考文献
書籍
「クラールビジュアルテキストブック・よくわかる微生物」医学芸術社 p110-p115
「最新医学大辞典」(医歯薬出版株式会社)
「ナースのための感染症対策マニュアル」文化放送ブレーン p14,p15
「ナース必携最新基本手技AtoZ/保存版」小学館 p252-p266

厚生労働省HP内 
「無菌操作法による無菌医薬品の製造に関する指針」の改訂について
wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T110422I0020.pdf
「医療施設における院内感染(病院感染)の防止について」
www.mhlw.go.jp/topics/2005/02/tp0202-1a.html
医療施設における院内感染の防止について
www.mhlw.go.jp/shingi/2006/09/dl/s0906-3d.pdf
平成16年度及び平成17年度試行物質リスク評価書 p28~
www.mhlw.go.jp/shingi/2006/09/dl/s0912-6g.pdf

医薬品医療器機総合機構HP内
「滅菌法及び無菌操作法PDF」
www.pmda.go.jp/public/pubcome_200906/file/004-0906.pdf

人工呼吸の安全セミナーテキスト P9-p10
www.info.pmda.go.jp/anzen_gyoukai/file/jamei01.pdf

各商品の添付文書

一般社団法人・日本医療機器学会HP内
医療現場における滅菌保証のガイドライン2010 p96~
www.jsmi.gr.jp/guidelinenew010.pdf
洗浄評価判定ガイドライン
www.jsmi.gr.jp/senjyou.pdf

社団法人・日本感染症学会HP内 洗浄
www.kansensho.or.jp/sisetunai/2008_3_pdf/04.pdf

ウィキーペディア
//ja.wikipedia.org/wiki/消毒
//ja.wikipedia.org/wiki/消毒薬
//ja.wikipedia.org/wiki/滅菌
//ja.wikipedia.org/wiki/洗浄
//ja.wikipedia.org/wiki/アルコール
//ja.wikipedia.org/wiki/ポビドンヨード
//ja.wikipedia.org/wiki/次亜塩素酸ナトリウム