吸引時の合併症と予防・対策


ここでは成人の場合の吸引方法をまとめてあります。
一つの例として参考にしていただければと思います。
ひとり一人看護の方法は異なりますので、
詳細に関しては 担当医師や看護師などと
よくご相談ください。
各医療機関や医師、看護師などにより、
治療方針や看護方針、手技、取り扱う医療
機器など異なる場合もあります。
一つの参考例としてご利用頂ければと思います。

◆吸引時の主な合併症

気道粘膜の損傷、出血

低酸素血症

不整脈や徐脈
低酸素血症や迷走神経刺激により発生。
迷走神経の刺激で、不整脈、徐脈、
血圧低下、心停止などの危険が高まる。

頭蓋内圧亢進、血圧の変動
吸引時の刺激による咳嗽などで上昇

気道の過敏反応(気管支痙攣など)

無気肺(肺胞虚脱)

感染症
吸引カテーテルを介しての感染 等

◆合併症の予防と対策

●適正な吸引圧
吸引圧参考数値
気管カニューレからの吸引圧
100mmHg~150mmHg

単位はkPa(キロパスカル)で表示されて
いる文献が多くなってきています。
20kPa(キロパスカル)は約150mmHg
(水銀柱ミリメートル)です。
吸引カテーテルのサイズや種類等によって
圧は多少変化します。
痰の粘稠度が高い時は、上記より圧を高く
する場合もあります。低い圧で長く吸引
するよりは、圧を少し高くして、短時間で
吸引した方がいい場合もあります。
粘度を低くする対策としてはネブライザー
などで痰を柔らかくしておきます。


●なるべく短時間で吸引
5~10秒 長くても15秒

●カテーテルの適正な長さ
参照⇒ 吸引カテーテルの挿入する長さ

●適正な太さのカテーテル
人工気道の場合は管の内径の1/2以下の太さ。
細いほど圧は低くなります。
太すぎると、肺胞虚脱(無気肺)のリスク
が高くなります。
カテーテルと気道の隙間も大切になります。
隙間が狭くなりすぎると、吸引時の陰圧
が細気管支や肺胞などにかかりすぎる為です。

●無理に挿入しない

●手際良く丁寧に挿入する

●人工気道以外でのカテーテルの
ピストン運動は避ける

●頻回の吸引は避ける

●清潔保持
1回ごとに吸引カテーテルは破棄する。
続けて使用する時は、カテーテルの外側
はアルコール綿などで拭き取り、カテー
テル内は滅菌水を通水し綺麗にしてから吸引する。

●異常の早期発見
バイタルサインのチェック
モニター上での観察

リスクが高い場合は、モニターの装着
(心電図、パルスオキシメーターなど)


●酸素吸入やアンビューバックなどの準備

●病態によっては吸引前後のバッグ換気

上記に挙げた手技的な対策以外に、当たり
前のことですが、病態の把握は必須になります。
上記の合併症のリスクが高くなる主な病態
には、出血傾向、低酸素症(組織内の酸素
が低下)、低酸素血症(血液中の酸素が
低下)心機能の低下、広範囲の脳梗塞や
クモ膜下出血、免疫力の低下、重い感染症などがあります。


続きはこちらです⇒ 従来と異なる点は? 







◇参考文献
書籍
「ロールプレイで学ぶ 呼吸ケア・呼吸管理のキーポイント」メディカ出版
「写真でわかる基礎看護技術① 看護技術を基礎から理解!」 インターメディカ 
「はじめて人工呼吸器」メディカ出版
「ナース必携最新基本手技AtoZ」EXPERT・NURSE 
「器械的人工呼吸マニュアル」ナース専科 文化放送ブレーン
「続カラー版マンガで見る手術と処置」小学館 
「最新医学大辞典」(医歯薬出版株式会社)
「イラスト救急処置マニュアル」南江堂

インターネット
「医薬品医療機器情報提供ホームページ」
「厚生労働省HP」
「ウィキペディア」