脈拍の性状には、大きさ(強さ)、速さ
緊張・硬さなどがあります。
◆脈拍の大きさ
脈拍の大きさは、動脈の拍動の幅になり
ます。1回心拍出量を表しており、多け
れば大脈(強い脈)、少なければ小脈
(弱い脈)になります。
大脈では脈圧が大きくなり、小脈では
脈圧が小さくなります。
触れている指先を押し上げる脈の強さで確認できます。
動脈が心臓の収縮期にどれだけの血液で
満たされたか、拡張期にどれだけ少なく
なるかによって、脈拍の大きさが決まります。
*脈圧とは、収縮期血圧と拡張期血圧の差
*大脈と小脈が交互に現れる脈を交互脈といいます。
◆脈拍の速さ
脈の立ち上がりと、下降の速さを表します。
脈拍の速さには速脈、遅脈があります。
左心室の収縮の強さと速さを反映しています。
左心室の収縮力が高くなると速脈に、
低下すると遅脈になります。
速脈では脈の立ち上がりと下降が急で、
遅脈では緩やかになります。
触れている指先に感じる血管の充満の
度合いを確認します。
最も心臓に近い動脈の拍動部位は頸動脈
になります。その為、脈拍の速さは頸動
脈のほうが確認しやすくなります。
頸動脈を触診する場合は、強く圧迫しないようにします。
又、必ず片側のみで触診し、両方同時の触診は通常、しません。
遅脈と徐脈は違います。
遅脈は1回の脈拍の立ち上がりと下降の
速さが遅い脈になります。徐脈は脈拍数が少ない脈になります。
◆脈拍の緊張・硬さ
脈拍の緊張・硬さには、硬脈と軟脈があります。
緊張が強く硬い脈を硬脈、緊張が弱く軟
らかい脈を軟脈といいます。
動脈壁が硬い場合は硬脈になり、通常、
血圧は高くなります。
血圧が低い場合は軟脈を触れることが多くなります。
脈拍を測定する時は、3本(示指、中指
環指)の指をあてます。
心臓に最も近い指先で、脈拍が触れなく
なるまで圧迫します。この時の力の度合
いで、硬脈か軟脈か判断します。
強い力が必要な時は硬脈、弱い力の場合
は軟脈になります。
続きはこちらです→ 脈拍の異常 概要
体の表面から触れることが出来る主な動脈の拍動部位
橈骨(とうこつ)動脈、上腕動脈、
頸動脈、大腿動脈、
膝窩(しつか・しっか)動脈、
後脛骨動脈、足背動脈等があります。
心臓の拍動について
心臓は自発的な電気的刺激により収縮します。
右心房にある洞結節から電気的興奮が
はじまり、心室のプルキンエ繊維へ広が
り、心室が収縮します。
心臓が周期的に収縮と拡張を繰り返し、
動脈血を全身に送り出すことを心臓の拍動といいます。
脈拍と自律神経
心臓は自律神経によって調整されています。
交感神経が優位になると、心拍数(脈拍
数)が増加し、副交感神経が優位になる
と、心拍数(脈拍数)が減少します。
血液循環
右心房→右心室→肺動脈(静脈血)
→肺の毛細血管(ガス交換)
→肺静脈(動脈血)→左心房→左心室
→大動脈→全身の動脈→毛細血管
(ガス交換)→静脈→上下大静脈
→右心房
脈波について
脈波は心臓の拍動に伴って大動脈から
末梢動脈へ伝わっていきます。
動脈内の圧や血液の容量が変化します。
圧による変化として表れる波を圧脈波、
血液の容積の変化に伴って表れる波を
容積脈波といいます。
心臓疾患や末梢動脈疾患(PAD)など
の診断に用いられます。
一般的に使用されているパルスオキシメ
ーターは、指尖容積脈波になります。