尿の一般検査

最初に実施される主な尿検査には、色調
pH、蛋白、ブドウ糖、ケトン体、潜血
反応、ビリルビン、ウロビリノゲン、
亜硝酸塩、尿ちんさ、尿比重等があります。
上記の中で尿沈査や尿比重以外は肉眼や
試験紙ですぐ調べることができます。

◆尿の色調
正常:淡黄色又は藁黄色
尿の色一つにしても、様々な情報を与え
てくれます。例えば、尿量が少ないにも
関わらず、殆ど無色の場合は腎機能不全
が疑われます。
混濁が強い場合は、腎尿路系の感染症が
疑われます。
薬の服用で尿の色が変わる場合もありま
す。例えば、センナ(下剤)の場合は
橙色、ビタミンB2の場合は鮮黄色 など
他にもたくさんあります。
糖尿病が隠されている場合は尿量が多く
色は淡黄色又は無色に近い色になるこが
多いです。
赤っぽい色の場合は腎臓や尿路(尿管
膀胱・尿道)、前立腺等の出血の可能性
があります。
出血の主な原因は、結石、腫瘍、炎症等
が疑われます。又若い人に見られる突発
性の血尿(原因不明の血尿)や運動後
の血尿(生理的な血尿)等もあります。
褐色尿の場合は、主に肝臓疾患に多くみられます。


◆pH:水素イオン指数
正常値:4.8 ~ 7.5 
酸性に傾く場合は、発熱、脱水、腎炎、
痛風、糖尿病などが疑われます。
アルカリ性に傾く場合は、尿路の感染、
過呼吸、嘔吐などが疑われます。
胃薬によく出される制酸剤を服用した時
もアルカリ性に傾く場合もあります。
食事によっても変動します。


◆尿蛋白
正常:通常は陰性
蛋白が陽性であれば腎臓の病気、発熱
過労などが疑われる
ことになります。
*腎臓の病気にもたくさんあります。
例:腎炎、腎盂腎炎、ネフローゼ症候群など。

☆尿路(尿管、膀胱、尿道等)に炎症
結石、腫瘍などで出血があった場合も
陽性になります。

☆他の病気がベースにあって腎臓に異常
を起こす場合もありますので腎臓以外の
異常箇所を見つける手がかりとしても、
尿検査はとても大切な検査になります。


◆尿糖
正常:陰性
尿糖が陽性の場合は、腎性糖尿、糖尿病
膵炎、肝臓の病気、甲状腺の病気、妊婦
ステロイド剤の長期服用などが疑われます。
病気が隠されていない場合は、一時的に
大量の糖分を摂ると陽性に出る場合もあります。
正常な人の尿にも、多少の糖は含まれて
いますが、普通の検査方法では検出は
されないようです。
精神的ストレス、運動後にも陽性に出る
場合もあります。

★尿糖が陰性でも、糖尿病が隠されている
場合もあります。
血糖値が170mg前後で尿糖が陽性になる
といわれています。


◆尿沈渣(ちんさ)
尿蛋白や尿潜血が陽性の時に行われる検査です。
とても重要な検査です。
尿路感染症の大まかな場所や、腎機能の
程度など重要な手がかりとなる検査です

腎臓・尿管・膀胱・尿道などの炎症、
結石、腫瘍、血液疾患、出血傾向のある
ときなどに異常値を示します。

尿ちんさとは、尿中の赤血球、白血球、
上皮細胞などの量を調べたり微生物など
の種類や量を調べる検査です。

★正常な尿中にも、微量の赤血球、白血球
上皮細胞などが存在します。
赤血球が多い場合は腎尿路系の炎症、腫瘍
結石、血液疾患などが疑われます。
白血球が多い場合は腎尿路系の感染が疑われます。
上皮細胞は病変の部位を知る手がかりになります。


◆ケトン体
正常:陰性
アセトン体ともいいます。
陽性の場合は、下痢や嘔吐が続いたとき
飢餓、過剰の脂肪食、糖尿病などが疑われます。


◆潜血反応
正常:陰性
潜血反応が陽性であれば腎、尿管、膀胱
尿道、前立腺等に炎症、結石、腫瘍等が
まず疑われることになります。


◆ビリルビン
正常:陰性
肝臓、胆道、膵臓などの病気、薬物中毒
等が疑われます。


◆ウロビリノゲン
正常値:陽性 + 1プラス
強陽性と陰性が異常値になります。
肝臓、胆道の病気、溶血性疾患、発熱、
運動後等が疑われます。


◆亜硝酸塩
尿路感染症など。

続きはこちらです→ 尿検査で異常があった場合






尿検査 項目一覧




◇参考文献
書籍
今日の臨床検査(南江堂)p122-p129 p625-628
最新データ検査値読み方マニュアル(文化放送ブレーン)p22-p31
医学大辞典(医歯薬出版株式会社)p836 p1068
エキスパートナース「最新基本技術AtoZ(小学館)p182 p183

インターネット
一般社団法人日本腎臓学会サイト内
診療ガイドライン 第3章 検尿の位置づけ
https://www.jsn.or.jp/guideline/kennyou/15.php
ウィキペディア
ja.wikipedia.org/wiki/尿検査
ja.wikipedia.org/wiki/病理検査