主な波形の基準値(成人の場合)

◆P波
幅(時間・秒)
0.06~0.10秒
記録用紙の横の長さ
1.5mm ~ 2.5mm
*1mm は 0.04秒

高さ(振幅・電圧・mV)
0.25mV以下
記録用紙の縦の長さ
2.5mm以下
*1mm は 0.1mV


◆PQ(PR)間隔
P波の始まりから、
Q波又はR波の始まりまでの時間。

幅(時間・秒)
0.12~0.20秒
記録用紙の横の長さ
3.0mm ~ 5.0mm
*1mm は 0.04秒


◆Q波
幅(時間)
0.04秒未満

高さ(振幅・電圧・mV)
R波の振幅(高さ)の1/4未満。



◆QRS波
Q波の始点からS波の終点までの幅に
なります。

幅(時間・秒)
0.06又は0.05~0.10又は0.08秒
記録用紙の横の長さ
1.5mm ~ 2.5mm
*1mm は 0.04秒

高さ(振幅・電圧・mV)
QRS波の高さとは、R波の高さとS波の
高さの合計になります。
誘導部位により異なります。



◆ST部分
基線上にあるのが原則。


◆T波
幅(時間・秒)
0.10~0.25秒

正常な振幅(フレの高さ)
12mm未満かつR波の1/10以上。


◆QT間隔
QRS波の始まりからT波の終わりまでの時間。
幅(時間・秒)
0.36~0.44秒(QTc時間)

QT時間は心拍数により変化する為、
補正された時間が使用されています。
これをQTc時間と呼んでいます。
QTc時間=実測QT時間(秒)÷√R-R時間(秒)

R-R時間は2つのQRS波の間の時間になります。



◆基線
通常、P波の始点と次のP波の始点を
結んだ線を基線といいます。

☆参考文献により数値は多少異なります。


計測方法
●幅(時間、横の長さ)の計測方法
基線が太い場合は上向きの波形は基線の
下縁、下向きの場合は基線の上縁を計測

波の曲がり角に向かって突き出ている部分


●高さ(電圧、縦の長さ)の計測方法
基線が太い場合は上向きの振れは基線の
上端から波形の先端まで、下向きの場合
は基線の下端から波形の先端まで計測。


心電図を記録する速さと感度
記録用紙の標準的なスピードは1秒間に25㎜です。
横の目盛が時間を表しており一番小さい
目盛 1mm は 0.04秒になります。
電位の大きさ(上下方向のフレ)は、
1mV=10mm が標準になっています。
縦の目盛が電圧を表しており一番小さい
目盛 1mm は 0.1mVになります。

波形の向きの表現方法
上向きのフレを陽性
下向きのフレを陰性又は逆転
フレが正常よりも低い時は平低
陽性と陰性の両方が存在する時は二相性
峰が2つに分裂している場合は二峰性
尖った波を尖鋭(QRS波以外)

Q波、R波、S波は先の尖った波が正常波形になります。
その他のP波、T波、U波はなだらかな波
が正常波形になります。
陽性、陰性の基準は、基線より上か下かになります。
基線は通常、P波の始点から次のP波の
始点を結んだ線になります。


心臓の刺激伝導系
洞結節から電気的刺激が起こると心房へ
伝わり心房筋が興奮。
その後、房室結節に刺激が伝わり、
ヒス束、左脚と右脚、プルキンエ線維の
順に刺激が伝わり、心室が収縮します。
ヒス束は心室中隔に下降してから左脚と
右脚に分かれます。
心室の興奮は心室中隔から始まります。
Q波の始まりが、心室中隔の興奮の始まりになります。
その後左脚と右脚、プルキンエ線維へと
伝わり心室が興奮します。
R波が心室の興奮になります。

ヒス束・左脚と右脚・プルキンエ線維
ヒス束とは、特殊筋線維の束のこと。
ヒス束が左脚(左心室へ)と右脚(右心
室へ)に枝分かれし、さらに心室内へ
網目状となります。
心室内に網目状に分布している
特殊筋線維がプルキンエ線維。


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心電図項目一覧


◇参考文献
書籍
「心電図・ナースのためのワークブック」金芳堂
「ナース必携最新基本手技AtoZ」EXPERT・NURSE 保存版 小学館
「ナース必携・心電図マニュアル」 臨時増刊号 保存版 小学館
「写真でわかる基礎看護技術②」株式会社インターメディカ
「最新医学大辞典」医歯薬出版株式会社

インターネット
ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/心電図