心電図を記録する手順と電極を外す手順5,6例

 

ここでは基本的な実施手順の一例を記載しています。
心電計や電極等の種類等により異なる部分
もありますので、詳細に関しては使用する
製品の取扱説明書などをお読みください。
又、検査する医療機関や人によっても多少
異なる部分もあります。


5:心電図を記録する 手順 例
①測定前の確認
四肢と胸部の電極が正しく対象者に装着
されているか確認します。
電極とリード線の色などを確認します。
電極がしっかり装着されているか確認します。
特に胸部電極は吸着が弱いと外れやすく
なりますので、注意します。

②対象者にリラックスさせます
例としては、軽く目を閉じてもらい、
静かに呼吸してもらいます。
全身の力を抜いてもらいます。

③心電計の操作パネルの確認
標準的な設定になっているか確認します
通常は、感度1= 10mm(1cm)/mV 
記録速度 25mm/秒

④誘導の選択
誘導切替スイッチ(キー、ボタン)を
押して誘導部位を選択します。
通常は第Ⅰ誘導から始めます。
心電計の種類により、一度に記録される
チャンネル(誘導)数は異なります。

⑤インストを解除する
記録する時はインストを解除します。
インスト(INST)スイッチ(キー、
ボタン)を押して解除します。

④記録開始
スタート、記録、RUNなどのボタン
(スイッチ)を押して、記録を開始させます。
振れが大きい場合は感度を1/2、小さい
場合は2に設定します。
不整脈などがなければ、4~5心拍分を記録します。
記録開始と同時に、記録用紙が出てきます。

⑤較正曲線をいれる
各誘導には必ず較正曲線をいれます。
4~5心拍分を記録した後に、較正電圧
スイッチ(キー、ボタン)を押して、
較正曲線をいれます。
その後、1心拍記録します。
較正曲線は心電図のT波の終わりから
P波が始まるまでの平坦部に入れます。

⑥誘導の切り換え
誘導を切り換える時は停止、STOP
ボタン等を押して記録を停止させます。
誘導切替スイッチ(キー、ボタン)を
押して、誘導部位を選択します。
心電計の種類により、一度に記録される
チャンネル(誘導)数は異なります。
同時に3チャンネル記録できる心電計の場合は、
Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ 
aVR、aVL、aVF
V1、V2、V3
V4、V5、V6
の順に切り替えていきます。

④、⑤、⑥を繰り返します。

誘導を切り換えたり、電極をつけかえたり
する時は、インストをONにします。


⑦記録終了
全ての測定が終了したら、インストを
ONにし、誘導切替スイッチ(キー、
ボタン)を「STD」又は「C」等に
戻し、電源をOFFにします。

心電計の種類などにより操作方法は異なります。
自動で実施する場合は、誘導切り換えや
較正曲線、インストなどの操作は不要に
なります。操作パネルのセットを確認して
開始ボタンを押すだけになります。



6:電極を外す 手順 例
対象者に心電図測定の終了を告げ、電極を外します。
断線を防ぐために電極を外す前に、
誘導コードを抜いておきます。
最初に胸部電極から外します。
ゴム球の部分を押して、吸着をゆるめてから外します。
吸着していた皮膚の部分は跡が残ります
が、徐々に消失します。
対象者にそのことを説明しておきます。
皮膚に付着しているペーストをティッシ
ュなどできれいに拭き取り衣服をもとに戻します。

 

インスト(INST)スイッチ(キー、ボタン)
対象者に装着した電極からの生体信号が
心電計内の増幅器に流れるのを遮断する
と同時に、増幅回路やフィルタの電荷を
放電させる役割があります。その為、
出力電圧はゼロになります。
較正(校正)曲線や熱ペンの調節、
記録用紙の状態などを確認する時には
インストをON(出力電圧をゼロ)にします。
心電図を記録している時に、誘導を切り
換えたり、電極をつけかえたりする時に
もインストをONにします。
記録時は解除します。

記録時の較正(校正)曲線の入れ方
較正電圧スイッチ(キー、ボタン)を押します。
感度を確認する時に操作します。
このとき描かれる波形を較正曲線といいます。
標準感度が1であれば、1mV=1cmの
振れになります。
感度が1/2であれば、1mV=0.5cmの
振れになります。
感度2であれば、1mV=2cmの振れになります。
最初は1mV=1cmの標準感度に合わせます。
各誘導に必ず較正曲線を入れます。
較正曲線は心電図のT波の終わりから
P波が始まるまでの平坦部に入れます。

 

続きはこちらです→ 記録した心電図の整理・保管と後始末手順7,8例





心電図項目一覧


◇参考文献
書籍
「心電図・ナースのためのワークブック」金芳堂
「ナース必携最新基本手技AtoZ」EXPERT・NURSE 保存版 小学館
「ナース必携・心電図マニュアル」 臨時増刊号 保存版 小学館
「写真でわかる基礎看護技術②」株式会社インターメディカ
「最新医学大辞典」医歯薬出版株式会社

インターネット
ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/心電図