◆検体検査とは?
臨床検査の一つです。
臨床検査は大きく分けて、血液や尿など
体の一部を採取して調べる「検体検査」
と医療機器を使用して直接人体を調べる
「生理検査(生体検査)」とに分けられます。
検体検査は病気の診断と治療には、欠か
せない検査になります。疾病等の原因を
調べ、それに基づいて診断し、治療することになります。
◆検体検査の分類
臨床検査技師等に関する法律及び医療法
施行令上の検体検査の分類
改正医療法(検体検査関連)が2018年
12月1日より施行され新しい分類になっています。
一次分類と二次分類があります。
二次分類は一次分類の各項目に対して
さらに分類されています。
一次分類(7分類)
微生物学的検査
免疫学的検査
血液学的検査
病理学的検査
生化学的検査
尿・糞便等一般検査
遺伝子関連検査・染色体検査
二次分類
微生物学的検査
細菌培養同定検査
薬剤感受性検査
免疫学的検査
免疫血清学検査
免疫血液学検査
血液学的検査
血球算定・血液細胞形態検査
血栓・止血関連検査
細胞性免疫検査
病理学的検査
病理組織検査
免疫組織化学検査
細胞検査
分子病理学的検査
生化学的検査
生化学検査
免疫化学検査
血中薬物濃度検査
尿・糞便等一般検査
尿・糞便等一般検査
寄生虫検査
遺伝子関連検査・染色体検査
病原体核酸検査
体細胞遺伝子検査
生殖細胞系列遺伝子検査
染色体検査
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●以前の分類
一次分類(6分類)
微生物学的検査、血清学的検査
血液学的検査、病理学的検査
寄生虫学的検査、生化学的検査
二次分類
微生物学的検査
細菌培養同定検査
薬剤感受性検査
病原体遺伝子検査
血清学的検査
血清学検査、免疫学検査
血液学的検査
血球算定検査、血液像検査
出血・凝固検査、細胞性免疫検査、
染色体検査、生殖細胞系列遺伝子検査
体細胞遺伝子検査(血液細胞による場合)
病理学的検査
病理組織検査、免疫組織化学検査
細胞検査、 分子病理学的検査
体細胞遺伝子検査(血液細胞によらない)
寄生虫学的検査
寄生虫学的検査
生化学的検査
生化学検査、尿・糞便等一般検査
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◆検体の種類
検体検査の対象は体全体になりますので
多くの種類があります。
体液や体の組織の一部等を採取して検査します。
体液で一般的によく採取されている検体
には血液、尿、糞便、喀痰、咽頭分泌物
などがあります。
他には、乳腺分泌物、髄液、胆汁、胃液
精液、唾液、腹水、胸水、関節液など
体のあらゆる部分の体液が対象になります。
中でも最も多く検査対象となる検体は血液になります。
膿汁の様に正常であれば貯留しない体液や
結石等も検体になります。
◆検体の採取方法
検体の採取方法は検体の種類や検査項目
などにより異なります。
ここでは一般的によく採取されている
血液、尿、糞便、喀痰、咽頭分泌物の
採取方法を大まかにまとめてみました。
血液
同じ血液の採取でも検査項目等により異なります。
血液には静脈血、動脈血、毛細管血があります。
静脈血と動脈血の場合は血管に針を刺して採取します。
静脈血の場合は末梢の静脈に、動脈血の
場合は末梢の動脈に針を刺して採取します。
血液検査で必要とされる検体の多くは、
静脈血になります。
血液ガス分析の場合は通常、動脈血を
採取します。
毛細管血の採取では耳朶や指頭、足底等
の皮膚に針等を刺して、微量の血液を
採取します。
毛細管血の採取は主に静脈血や動脈血が
得られない場合に実施されます。
尿、糞便、喀痰
尿や糞便、喀痰の場合は主に本人が採取します。
検査項目などにより同じ検体でも、
採取方法等が異なる場合があります。
細菌検査の場合は、一般検査の時より
煩雑になります。
咽頭分泌物
咽頭分泌物の場合は主に医師や検査技師
などが咽頭の病変部等に綿棒をあてて
強くこすり、粘液を綿に十分付着させて採取します。
咽頭分泌物の検査は炎症などの原因菌を
特定する為に必要な検査になります。
◆病理学的検査について
組織の一部や細胞を調べる病理検査には
組織診検査と細胞診検査があります。
病理学的検査は診断の確定や疾病の経過
予後を判定する為に必要な検査になります。
組織診検査の検体採取の方法
組織診検査は組織の一部を採取して検査します。
組織診検査に必要な検体は各種臓器等の
組織になります。
組織の一部を採取して検査することを生検といいます。
病変部等の組織に針を刺して採取する
針生検や、組織を切除して採取する直視
下生検、内視鏡下で極微量の組織を鉗子
で採取する内視鏡下生検等があります。
直視下生検には、病巣部のみを採取する
切開生検と、周辺の正常組織も含め病巣
全体を採取する切除生検があります。
針生検では皮膚を通して病変部位等に
太い針を刺して、針の中に組織の一部を
入れて採取します。
直視下生検では手術時や試験的切開時等
に組織の一部を切除します。
細胞診検査の検体採取の方法
細胞診検査に必要な検体には、各器官の
体液や擦過材料、生検捺印等があります
擦過材料とは、綿棒やブラシなどで病変
部位などを擦過して採取した検体のこと
です。気管支や消化管、子宮等の細胞診
の時に採取されるケースが多いです。
生検捺印とは組織診検査(生検)で得た
組織片の新鮮な割面にスライドグラスを
押し当てて、細胞を採取する方法です。
リンパ節の病変の時は欠かせない採取方法になります。
体液とは?
体液とは体内に存在する全ての水分と
それに溶解している溶質の総称になります。
体重の約60%を占めています。
体液は細胞内液と細胞外液に大別されます。
細胞内液は細胞内に存在する体液で、
体全体の体液量の約6割を占めていると
いわれています。
体重に対しては約4割。
細胞外液は、細胞外に存在する体液で
体全体の体液量の約4割を占めているようです。
体重に対しては約2割。
細胞外液には間質液(組織液)、血漿、
リンパ液、脳脊髄液などが含まれます。
血漿は血管内、リンパ液はリンパ管内
脳脊髄液(髄液)は脳室内と脳脊髄の
くも膜及び軟膜間に存在しています。
間質液は組織細胞と毛細血管の間の空間
を満たす管外の体液になりますが、
間質液の一部はリンパ管に入りリンパ液となります。
検査の対象となる体液には、上記の細胞
外液と尿、消化管液(唾液、胃液、胆汁
膵液、腸液など)、乳汁、精液、膣液、
鼻汁など多くの種類があります。
体腔に存在する体液(体腔液)
胸水、腹水、心嚢液があります。
胸水、腹水、心嚢液は正常な状態でも
円滑に機能するように少量存在しています。
病変などがあると量が多くなります。
関節液
関節液は滑液とも呼ばれています。
関節腔を満たす間質液(組織液)になります。
関節の運動を滑らかにし、軟骨に栄養を与えています。
炎症などを起こすと量が多くなります。
毛細管血について
毛細管は医学の分野では毛細血管のこと
毛細血管の占める割合は全血管の約90%
以上で総延長は10万kmを超える。
壁の厚さは0.5μmで透過性が高い。
毛細血管は動脈と静脈の間をつないでいます。
体循環(大循環)の場合は動脈には
動脈血が流れています。静脈には静脈血
が流れています。動脈血は酸素や栄養素
などを多く含んでいます。
各組織の細胞に酸素と栄養素などを運ぶ
ためには血管壁の薄い毛細血管に動脈血
が通ることで、酸素などが毛細血管外
(間質液、細胞外液、組織液)へ移動
することが出来るようになります。
間質液中に移動した酸素などは細胞膜を
通して細胞内に取り込まれます。
反対に細胞内の二酸化炭素や老廃物等は
間質液中に移動し、毛細血管の薄い壁を
通って毛細血管内に入り、二酸化炭素を
多く含んだ静脈血となって静脈内を流れます。
毛細管血(毛細血管血)は、皮膚を穿刺
または小切開して血液を採取する為、
血液以外に組織液も含まれます。
動脈血、静脈血、組織液の混合になります。
毛細管血の採取は静脈や動脈からの採血
が困難な場合に実施されます。
血糖値や血液ガス分析の様に微量でも
検査が可能で頻回に数値を確認すること
が必要になった場合にも選択される時もあります。
特に新生児や乳幼児の場合は静脈や動脈
からの採取が困難なケースも多いため、
毛細管血からの採取が必要になります。
成人では血糖値を確認する時に実施するケースが多いです。
毛細血管と血球の大きさ
毛細血管の平均内径は6μm
赤血球は直径約8μm
顆粒白血球は10μm
リンパ球は6~10μm
単球は15~20μm
血小板は2~3μm
毛細血管の内径より大きい赤血球と
白血球が毛細血管を通過できるのは
大きな変形能力を備えているから。
「生検」という言葉について
病理検査である組織診の時に使われる
「生検」は生体組織診断のことで、
バイオプシーとも呼ばれています。
死体を解剖して検査する時の剖検に対し
生体から検体を採取するため「生検」と
呼ばれています。
生検は検体検査の一つです。
臨床検査は大別して検体検査と生体検査
があります。
生体検査は生理機能検査又は生理検査と
呼ばれるこもあります。
生体検査のことを「生検」とは通常いいません。
開設日 2019/07/11