- 排泄関連 項目一覧
おむつについて
尿器について
便器について
ポータブルトイレ
排泄介助の実践(紙おむつの場合)
- おむつについて
◆おむつとは?
陰部や臀部にあてて、尿や便
の汚染を防ぐ為に使用されるものです。
主に新生児、乳児、幼児、
介護が必要な高齢者や障害者
の方などに使用されています。
特殊な例としては長時間行動
が制限されている宇宙飛行士
などにも使用されるケースもあるようです。
◆おむつの種類
一般的に大別すると布おむつと
紙おむつがあります。
再利用可能な布製(糸で織って
いる布、織物)のおむつを
布おむつ、再利用に適さない
使い捨てのおむつを紙おむつと呼んでいます。
◆紙おむつについて
紙おむつは様々な素材で作られています。
綿、紙、ポリエステルやポリエ
チレンなどの不織布、高分子吸
水材、天然ゴムなど他にも様々な素材があります。
紙おむつにはいくつかのタイプ
があり、使用する人の状態で
使い分けされています。
又機能や構造の面からも様々な
紙おむつがあり、選択肢が多くなっています。
◆紙おむつの種類
紙おむつをタイプ別に分類する
と主に4つの型があります。
パンツ型紙おむつ、テープ型
紙おむつ、フラット型紙おむつ
そしてパッド型 等があります。
機能や構造別に分類すると、
昼用、夜用、長時間用、薄型用などがあります。
新しいタイプの紙おむつとしては
パンツ型とテープ型を合わせた
2ウェイタイプの紙おむつも販売されています。
◆パンツ型紙おむつ
パンツ型の紙おむつは介護施設
や医療機関等ではリハビリパン
ツと呼ばれることも多いと思います。
リハビリパンツには使い捨て用の
パンツ型紙おむつと綿とポリエス
テル等でつくられた再生可能なパンツがあります。
立位や歩行が可能な人向けのおむつになります。
通常の下着のように着脱できます。
薄いもの、厚いものなど尿量に応じた種類があります。
男女共用のものが多く市販されています。
商品の種類や体位などにより
テープ型の紙おむつよりも排泄
物がもれやすい場合があります。
両サイドに何度でもつけははずし
可能なテープがついているリハビ
リパンツもあります。
交換する時にズボン等を全部脱
がなくても、つけはずしが出来
るため介護を受ける人も介助する人も負担が軽くなります。
◆テープ型紙おむつ
テープ型の紙おむつは主にベッ
ドやふとんの上で過ごすことが
多い人向けのおむつになります。
立位が困難な方、寝たきりの方
パンツ型紙おむつで排泄物の
もれがある場合などに使用されています。
又、睡眠の時だけ使用される場合もあります。
通常のおむつカバーとほぼ同じ
形と構造をしています。
通常は左右にテープが2枚ずつ
取り付けられています。
臥位の状態でも容易に着脱が
出来るようになっています。
パンツ型と違って圧の調節ができます。
*2ウェイタイプの紙おむつ
パンツ型とテープ型を合わせた
新しいタイプの紙おむつもあります。
昼と夜とで使い分けている方に便利です。
◆フラット型紙おむつ
フラット型紙おむつには長方形
の平らな紙おむつ以外にも立体
ギャザーのあるものや形などを
工夫したものもあります。
通常はおむつカバーやテープ型
紙おむつの中に入れて使用します。
尿とりパッドとして活用される
こともあります。
おむつカバーを使用する場合は
通常は2枚をT字型にしておしりと陰部にあてます。
テープ型紙おむつと併用する
場合は、通常は1枚だけ縦にして使用します。
フラット型紙おむつの用途は本来
の目的以外にも使用されています
例えば、ベッド上で部分浴や陰部
洗浄、洗髪などをする場合は、
リネン類を濡らさないように防水
カバー用として活用される場合もあります。
◆パッド型紙おむつ
パッドタイプの紙おむつは主
に尿を吸収する為に使用され
尿とりパッドと呼ばれています。
フラット型紙おむつより小さく
て女性用、男性用、男女共用のパッドがあります。
パンツ型やテープ型と併用して
使用される場合が多く交換する時に便利なおむつです。
男性用の組み立てる形の尿とり
パッドはパンツ型紙おむつには向いていません。
圧の調節ができるテープ型紙おむつなどの併用に向いています。
◆紙おむつのサイズについて
サイズは紙おむつのタイプに
よって基準になる部分が違います。
テープ型はヒップサイズで、
パンツ型はウエストサイズになります。
サイズは同じ表記でもメーカー
によって適用範囲(基準になる
サイズ)は多少異なる場合も
ありますのでよく確認して下さい。
例
パンツタイプのMサイズの場合
A社の表記 60~90cm
B社の表記 60~95cm
◆各タイプのサイズ別適用範囲
(基準になるサイズ)例
●パンツ型(ウエストサイズ)
SS=45cm~60cm
S=50~70cm
52~75cm
55cm~75cm
M=60~85cm
60~90cm
65cm~90cm
M~L=60~90cm
60~95cm
L=75~100cm
80cm~105cm
L~LL=80cm~130cm
LL=85~125cm
90~125cm
95cm~125cm
●テープ型(ヒップサイズ)
SS=50cm~85cm
S=56~90cm
57cm~92cm
M=60~115cm
65cm~100cm
67~106cm
70~110cm
77cm~110cm
L=81~128cm
85cm~120cm
85~125cm
85~135cm
92cm~130cm
LL=81~141cm
94cm~142cm
★同じメーカーでも製品により多少適用サイズが異なるものもあります。
◆紙おむつの吸収量について
紙おむつの主な機能の一つが、尿の吸収力です。
どれだけの量をおむつ内に吸収
できるかは、メーカーや商品によって異なります。
吸収量や構造を基準にした分類
には、昼用、夜用、長時間用、薄型用などがあります。
昼用は排尿2回分が多く販売されています。
夜用は臥位の状態にあわせた構造や材質になっています。
4回分から5回分のものが多く販売されています。
各メーカーや商品等が定めている
1回の排尿量の目安は異なります。
1回の排尿量の基準値 例
120ml 150ml 170ml など
◆メモ◇~~~~~
不織布(ふしょくふ)とは?
織っていない布のこと。
機械的、化学的、熱的に処理してつくる布のこと。
織物に比べ、強度が劣る。
一般的に呼ばれている布とは
繊維で織った織物のことをさすことが多い。
排尿量と排尿回数の目安
1日の尿量(排尿量)の正常
範囲は大体の目安としては、
500ml~2000ml
健康な成人の場合は
1000ml~2000ml
初発尿意の尿量は健康な成人
では 150ml~250ml
強い尿意を感じるのは
300ml~500ml
1日の排尿回数は、大体の目安
としては 4~6回
高齢者の場合は排尿回数を除い
て、それぞれ上記よりも少なくなります。
それぞれ年齢差、性差、個人差はあります。
外的環境、食事や水分の摂取量などでも違ってきます。
*尿意とは尿を出したいという感覚
初発尿意とは尿意を感じ始める感覚
★数値は文献によって多少異なります。
◇◆◇◆~~~~~
- 尿器について
◆尿器の種類
尿器は機能的に大別すると手動
式と自動式があります。
タイプ別には受尿と蓄尿の部分
が一体になっている尿器と別々
になったセパレート型の尿器があります。
女性の場合は坐位用と臥位用の
尿器の型は違います。
男性の場合は同じ型になります。
手動式の尿器には受尿と蓄尿の
部分が一体化したタイプの尿器
と別々になったセパレートタイプの尿器があります。
自動式の尿器は自動吸引式集
尿器などと呼ばれ、尿をセン
サーが感知して自動で尿を
吸引する特殊尿器があります。
受尿器と蓄尿器が別々になったタイプになります。
受尿器の材質にはガラス製と
プラスチック製があります。
それぞれ利点と欠点があります。
「しびん」は尿器のことですが、
受尿と蓄尿の部分が一体化した
尿器のことをさすことも多いようです。
◆各尿器の利点と欠点
それぞれ男性用、女性用があります。
●しびん(一体化した尿器)
利点
臥位、立位、坐位でも利用可能
操作が簡単
尿器の蓋をとって尿器をあてるだけ
持ち運びが楽
手入れが簡単
排尿後すぐにトイレに流して、
尿器内を水や洗剤で洗えば綺麗になります。
欠点
排尿が終わったらすぐ処理が必要
尿器内に溜まったままにしておく
と不潔になり易く、アンモニア臭
などで不快感を与えます。
又、尿器内に沈殿物などが付着し
やすくなり、放置しておくと汚れが落ちにくくなります。
溜まった尿が尿器からこぼれる危険がある
あてっぱなしには出来ません。
臥位の時は、尿器から尿がこぼれたりする危険が高くなります。
*坐位用の尿器について
坐位が可能な女性用の尿器になります。
臥位と坐位兼用の尿器もあります。
男性の場合は体位に関係なく同じ形の尿器で出来ます。
◆セパレート型集尿器
受尿器と蓄尿器が別々になった尿器です。
受尿器と蓄尿器は管で連結されています。
利点
排尿後はすぐ処理しなくても
いいので、夜間や寝たきりの方には便利です。
蓄尿した尿が尿器からこぼれる心配がありません。
尿の回数が多かったり夜間等の
時は、あてっぱなしが出来ます。
男性の場合はあてっぱなしは可能ですが、女性の場合は困難。
欠点
高低差が必要なので布団などでは使用が困難
高低差のあるベッドでの使用に適しています。
一体化の尿器より少し管理に手間がかかる
採尿部と蓄尿部、採尿部と蓄尿部
をつなぐ管の部分を綺麗にする必要があります。
◆自動吸引タイプの尿器(特殊尿器)
受尿器と蓄尿器は管で連結されています。
センサーで尿を感知して、自動で尿を吸引します。
受尿器や尿パッド等に排尿する
とセンサーが尿を感知して自動
で尿を吸引し蓄尿器に溜めてくれます。
利点
高低差がなくても畜尿できる
尿器をあてておけば、人の手を借りなくても出来る
蓋が密閉されているので臭気があまりない
蓄尿された尿は1日1回捨てるだけでなので、手間がかからない
欠点
他の尿器より高価
音がする
管理がやや煩雑
◆尿器の材質の欠点と利点
受尿器の材質には、ガラス製とプラスチック製があります。
●ガラス製の尿器
利点
変質し難い
汚れにくい
汚れが落ちやすい
破損しない限り長期間使用できる
欠点
プラスチック製に比べ破損しやすい
重たい
●プラスチック製の尿器
利点
軽い
落としても破損し難い
欠点
ガラス製より変質しやすい
汚れがつきやすい
汚れが落ちにくい
変質による破損の可能性がある
- 便器について
◆便器の必要性
主にベッド上などでの生活を
余儀なくされた方などに使用されています。
起き上がれない人や座位が困難
な方、安静が必要な方、紙おむ
つをあてるのに抵抗のある方、
尿器でうまく排尿できない時、
便意がある場合に使用されます。
◆便器の種類
便器の種類にはベッド上等での
排泄の場合は、小型差し込み式
ベッドバンタイプ、ゴム製、
腰上げ不要タイプなどの便器があります。
ベッドサイドでの排泄にはポータブルトイレがあります。
それぞれ特徴があり体の状態に合わせて使用されます。
◆各便器の特徴
●小型差し込みタイプ(安楽便器)
多く使用されている便器です。
差し込むところが丸くなって
おり、臀部を支えています。
軽くて高さも低いので介護
する方もされる方も負担が少なくてすみます。
欠点としては、小型なので尿の
跳ね返りなどで汚染されやすくなります。
仙骨部に褥瘡のある人は使用を避けた方がいいです。
●ベッドバンタイプ
受け口が広いので陰部や臀部を洗うときにも便利です。
他の種類の便器より重く硬い。
高さもあるので腰を上げる時に負担が大きいです。
*低いものもあります。
仙骨部に褥瘡のある人は使用を避けた方いいです。
●ゴム製便器
ゴム製の便器に空気を入れて使用します。
腰を上げることが困難な方には
差し込んでから空気を入れます。
やわらかいため仙骨部に褥瘡が
ある方にも安楽だと思います。
ゴム製の為、管理に注意が必要です。
水又は中性洗剤で洗浄後は、
空気を抜いておきます。
日陰で干してよく乾燥させて
から、涼しいところに保管します。
長期間保管する時は、タルク
(シッカロール、ベビーパウダ
ー等)を塗布しておくとゴムの
張り付きを防止でます。
●腰上げ不要タイプ
その名の通り利用する方の負担が殆どなく便利です。
介護する方はある程度技術が必要とされます。
- ポータブルトイレ
アウトドアや災害時などに使用
されているポータブルトイレも
ありますが、ここでは医療機関や
家庭で使用されているポータブル
トイレについて記載しています。
◆ポータブルトイレとは?
携帯用のトイレのことです。
トイレ迄行くのが困難な場合や
近くにトイレがない場合などに利用されます。
医療機関や家庭ではベッドサイドに置くことが多いです。
個室の場合は部屋の隅に置くこともあります。
◆ポータブルトイレの必要性
・室内にトイレがない場合
・安静の為、歩行が制限されている場合
・トイレまで歩行が困難な場合
・トイレに行くまで間に合わない場合 など
◆ポータブルトイレの種類
・背もたれなし
・背もたれあり
・肘掛け付き
・手すり付き
・水洗式 など
◆ポータブルトイレの欠点と利点
●欠点
・臭いや音が気になる
・音や臭いなどで周囲に迷惑をかける
個室の場合は他の人の迷惑には
なりませんが、相部屋だと周りに気を使います。
・排泄後の手間がかかる。
排泄後は汚物をトイレに流して
洗浄する必要があります。
最近では手間のかからないポータ
ブルトイレも販売されている様です。
●利点
・体の負担を軽減
・尿漏れの心配がない
・夜間でも安心 など
- 排泄介助の実践:パンツ型紙おむつの交換
紙おむつのタイプによって交換方法は異なります。
◆パンツ型の紙おむつの場合
パンツ型の紙おむつはリハビリ
パンツと呼ばれることもある様
に、立位や歩行が可能な方向けのおむつになります。
排尿が間に合わない場合や、
失禁があって不安な場合などに
着用するケースが多いと思います。
通常身に着ける下着の様に着脱
が簡単に出来る為、ひとりでも交換が可能です。
麻痺や認知症等で一人では交換
できない場合は介助が必要になります。
失禁がある場合は尿パッドを
併用している場合も多いと思います。
紙おむつの汚染がなければ、
尿パッドだけ交換することになります。
●介助が必要な場合の手順 例
対象者の方をベッドサイドや
イスなどに腰掛けてもらうか立位にします。
立位時は転倒しないように、
ベッド柵や手すりなどをしっかり掴んでもらいます。
排便があれば立位にします。
両足を少し開いてもらいます。
おむつをひざの上くらいまでおろします。
紙おむつに汚染がなければパッドだけ交換します。
汚染されたパッドは中が見え
ないようにまるめておきます。
陰部や臀部をきれいにします。
排尿だけの場合でも温かい
お湯などで綺麗にしておくと
気持ちも良くなり皮膚のトラブルも少なくなります。
拭いた後は、出来れば乾いた
タオルなどで軽く押さえて水分をとります。
新しいパッドを陰部から臀部にあてます。
パッドがずれないように可能で
あれば、対象者の方に手で押さ
えてもらうか両足を少し閉じてもらいます。
出来ない場合は実施者が押さえ
ながら紙おむつをもとに戻し、
しっかりと着用させます。
紙おむつ自体も交換する場合は
尿パッドと一緒におむつを脱がせます。
脱がせにくい場合は紙おむつの
両脇を破いて取り除きます。
中が見えないように脱がせたらすぐ丸めておきます。
陰部や臀部をきれいにした後は
紙おむつをひざの上まで着用させます。
そのあとは上記と同じです。
オムツについて
◇参考文献
書籍
「最新医学大辞典」医歯薬出版株式会社p1077 p1088 p1328 p1327
「家庭医学大百科」主婦の友社 p557 p584
「新・検査マニュアル」小学館 p118
「今日の臨床検査95~96」南江堂 p124
電子辞書 広辞苑
インターネット
ウィキーペディア
//ja.wikipedia.org/wiki/おむつ
//ja.wikipedia.org/wiki/不織布
//ja.wikipedia.org/wiki/尿
//ja.wikipedia.org/wiki/膀胱
//ja.wikipedia.org/wiki/尿意
社団法人 日本衛生材料工業連合会HP内
紙おむつの表示ガイドライン
//www.jhpia.or.jp/standard/diaper/index.html
紙おむつ・軽失禁について
www.jhpia.or.jp/product/diaper/old/select.html
その他
商品の現物と各メーカーのHPを参照
尿器について
◇参考文献
尿器の取扱説明書など
女性用
https://www.aronkasei.co.jp/anju/wp-content/themes/anju_theme/media/manual/01haisetsu/
nyouki_sashikomi/yurifit_joseiyou_manual01.pdf
便器について
◇参考文献
便器の取扱説明書など
安寿サイト内
https://www.aronkasei.co.jp/anju/manual/
マツヨシサイト内
https://www.matsuyoshi.co.jp/assets/pdf/manual/man_00876030.pdf
ポータブルトイレ
◇参考文献
インターネット
ウィキペディアサイト内
https://ja.wikipedia.org/wiki/ポータブルトイレ
ポータブルトイレの取扱説明書など
安寿サイト内
https://www.aronkasei.co.jp/anju/manual/
マツヨシサイト内
https://www.matsuyoshi.co.jp/assets/pdf/manual/man_00866819.pdf
おむつ交換実践
◇参考文献
インターネット
社団法人 日本衛生材料工業連合会HP内
紙おむつ・軽失禁について
www.jhpia.or.jp/product/diaper/old/select.html
その他
商品の各メーカーのHPを参照


