誤嚥について


  • 誤嚥 項目一覧
    誤嚥とは?
    食材の工夫
    食事をする時の姿勢
    坐位が出来ない方の食事介助の手順 例
    誤嚥を防ぐポイント
    咀嚼力や嚥下力低下の防止
    唾液の分泌を良くする方法


  • 誤嚥とは?
    胃の中に入らなければならない
    ものが、誤って気管内に入ることです。
    通常は気管内に異物が入ると、
    人体の防御反応が働き、異物を
    外へ出そうとして咳などの反射が起きます。
    加齢や脳卒中(脳出血・脳梗
    塞・一過性脳虚血・高血圧性脳
    症等)などで意識障害や麻痺、
    機能低下等がある方の場合は
    嚥下反射(物を呑み込む反応)
    や咽頭反射(喉の奥を刺激する
    と吐こうとする反応)、
    咳嗽反射(咳をする反応)など
    が鈍くなり、誤嚥しやすくなります。

    咽頭反射は喉の奥を刺激すると
    吐こうとする正常な反射です
    が、この咽頭部分の知覚等が
    鈍ってくると嚥下反射も鈍くなります。

    咳嗽反射は異物等が気管や肺に
    入ったり溜まったりすると、
    咳をして、体外に出そうとする
    自然な体の反応ですが、それが
    鈍くなると肺に貯留されたまま
    になり嚥下性肺炎や呼吸困難等
    を併発するリスクが高くなります。

    誤嚥を防ぐ対策としては、食事
    の工夫や、姿勢、咀嚼力や嚥下
    力低下の防止、唾液の分泌を良
    くするなどの方法があります。



  • 食材の工夫
    ◆誤嚥しやすい食材
    ●水、お茶、ジュース、汁物など
     さらさらした飲み物。

    ●ゆで卵、焼き芋、そぼろ類
    焼き魚、ナッツ類、おからなど
     口の中でバラバラになったり
     ぱさつくもの。

    ●こんにゃく、かまぼこ、のり、
    ワカメ、餅等
     うまく噛めない物やくっ付きやすい物。

    ●りんご、ゴボウなど
     硬い物や繊維の多い物。

    ●肉類 など


    ◆誤嚥を防止する食材の工夫
    ●水物はクズや片栗粉、市販の増粘
    剤などでトロミをつけます。

    ●バラバラになりやすい食材には
    あんをかけたり、ゼリーよせにしたりします。

    ●肉や魚にはテリーヌなど。

    ●卵は卵豆腐など。



  • 食事をする時の姿勢
    ◆坐位が可能な場合
    ●座位が自力で出来る人は車椅子や
    椅子に座る

    ●自力での座位保持が困難な人は、
    ギャッジアップやバックレスト等を利用
    本人の楽な姿勢、希望する角度に調節。
    範囲としては 30~90度位の角度で調節。
    楽な姿勢が保てるようにクッションや枕などで調節。
    体がずれない様に両膝の下にクッションなどで支える。

    ●テーブルは自然に肘がつく高さに調節

    ☆やや前屈みになる姿勢が呑み込みやすく誤嚥し難い。


    ◆坐位が不可能な場合(自分で食べる場合)
    ●座位が無理な人は横向きにして
    可能であれば頭を高くする。
    *安楽な姿勢でかつ、なるべく頭部
    を高くします。

    ●ギャッジベッドの場合は上体を
    少しだけ上げる。
    座位が不可能な方の状態にもより
    ますが、15度から30度位まで調節

    ●枕を高くするなどして出来るだけ上体を高くする

    ●横向きにして、手を自由に動かせるようにする
    *麻痺がない場合は、可能であれば
    右向きにします。

    *麻痺がある人の場合は、ご自分で
    食べる場合は、麻痺側を圧迫しない
    ように注意して、自由に動かせる方を上にします。

    *背中を座布団やクッション、
    丸めたバスタオルなどで支える。

    ※誤嚥のリスクを少しでも小さく
    するためには、可能であれば出来
    るだけ自分で食べることが大切だと思います。
    自分の目で確認し、手を動かして、
    自分のペースで食べることが誤嚥
    だけではなく、各機能の低下防止
    にもつながります。



  • 坐位が出来ない方の食事介助の手順 例
    ◆臥位で自分で食べる場合
    ①ギャッヂベッドの場合は上体を少しだけ上げる

    ②枕を高くするなどして出来るだけ上体を高くする

    ③横向きにする
    *ご自分で食べる場合は、麻痺側を
    圧迫しないように注意して自由に動かせる方を上に。

    ④背中を座布団や丸めたバスタオルなど支える

    ⑤シーツを汚さないように防水マットやタオルを敷く

    ⑥胸元にタオルやエプロンを巻く

    ⑦手を自由に動かせるようにする

    ⑧ストローや吸い飲みなどを利用

    ⑨本人が食材を取りやすいように料理を配置する


    ◆食器類の工夫
    ●お椀や皿が滑らないように、滑り止めシートを利用。

    ●本人にあった握りやすいスプーンやフォークを準備。

    ●すくいやすいように、壁が立ち上がりのある食器を利用。

    ☆こぼしながらでも自分で好きな
    ように食べるほうが美味しく頂け
    手指の運動にもなります。



  • 誤嚥を防ぐポイント
    寝たままで食事をするときは特に
    注意が必要ですが、座位の時にも
    食べる量や早さなどで誤嚥の危険があります。

    はっきりと目を覚ました状態で、
    ゆっくりとあせらず、
    一口一口を味わって、
    呑み込むときは少しあごを引いて
    口の中の物を呑み込んでから、
    次の動作をしましょう。

    ■覚醒を促す方法
    *嚥下や咀嚼の助けにもなります。
    食べ物を口に入れる前に、ハブラシ
    やスプーンなどで、舌や頬の内側を
    軽く押したりして、口腔内を刺激します。
    口を開いたり、閉じたりする。
    舌を出したり、引込めたりする。
    声かけ。 
    など


    ■食器類の工夫
    ●お椀や皿が滑らないように、
    滑り止めシートを利用

    ●本人にあった握りやすいスプーン
    やフォークを準備

    ●すくいやすい様に、壁が立ち上が
    りのある食器を利用

    ☆こぼしながらでも自分で好きな
    ように食べるほうが美味しく頂け、
    手指の運動にもなります。



  • 咀嚼力や嚥下力低下の防止
    加齢に伴って衰える「かむ―呑み込
    む」という一連の動作のためのトレーニングです。

    ■口や舌の体操の一例
    ●口を大きく開けたり膨らませたりする

    ●舌を出したり引っ込めたり、左右に動かす

    ●首を回したり、左右に傾けたり、向けたりする

    ●食べる前に、口の中を歯ブラシ等やスポンジブラシ等で刺激する

    *上記以外にもいろいろあると思います。
    口に麻痺がある方は、手で頬や唇を
    伸ばしたり縮めたりするのも効果的です。



  • 唾液の分泌を良くする方法
    高齢になると、物を呑み込む反射が
    低下します。

    段々と筋力も衰えて、かむ力やかむ
    回数も低下します。
    そうなると唾液の分泌も減少し、
    呑みこみ難くなります。

    ■唾液の分泌を促す方法は?
    ●食べ物をよくかむ

    ●酸味のある物を口にする (レモン・梅干など)

    ●唾液腺のマッサージ


    ■唾液腺のマッサージ方法
    唾液腺には、耳下(じか)腺、
    顎下(がっか)腺、 舌下(ぜっか)腺があります。
    それらを刺激し、唾液の分泌を促します 

    耳下腺
    耳たぶの下を人差し指でぐるぐる押しながら回す。

    顎下腺
    あごの骨のデッパリ(えら) から
    少し内側を親指で押しながら回す。

    舌下腺
    あごの下(舌の根元)を親指で 押す。

    ★誤嚥しないよういろいろ工夫して
    も、食べる時の姿勢や食べる早さ、
    体や気分の状態などが原因で誤嚥を
    避けられないこともあります。


    ◇参考文献
    インターネット
    食品安全委員会HP内
    「食べ物による窒息事故を防ぐために」PDF
    http://www.fsc.go.jp/sonota/yobou_syoku_jiko2005.pdf