- 気管カニューレからの吸引 項目一覧
●滅菌操作の必要性
●必要物品等(在宅ケア用)
●吸引前の準備
●吸引の実践手順
●吸引時の注意点
●家庭での廃棄物の処理方法など
●吸引後の物品等の管理
- 滅菌操作の必要性
◆気管カニューレとは?
気管カニューレは直接気管内に挿入される管です。
外から気管を切開して穴をあけ
(気管切開)カニューレを挿入します。
カニューレの種類は単管(管
が一つだけ)、複管(内管と
外管)、カフ付き、カフなし
などいくつかあります。
気管カニューレを通して呼吸を
したり、痰やその他の分泌物等
を吸引することになります。
◆口腔及び鼻腔内の吸引と異なる点
空気が肺胞(ここでガス交換)
に到達するまでの経路は、
口や鼻→咽頭→喉頭→気管
→気管支→細気管支→肺胞
の順です。
外気は口や鼻、咽頭、喉頭を
通過しながら雑菌や埃等が少な
くなり適度な湿度も加わって、
気管内に入ります。
気管切開をされている方は、
上記の経路は通らずに外気が
直接気管内に入ることになります。
その結果、肺炎や気管支炎等を
引き起こす危険が高くなります。
その為、滅菌操作でないとさら
に感染症を引き起こしやすくなります。
滅菌操作を実施することにより
雑菌などを増やさないことが重要になります。
滅菌操作に伴い、カテーテルや
消毒薬等の管理も口や鼻の吸引
とは異なり厳格になります。
又、気管内の粘膜を傷つけない
様に吸引圧や挿入する管の長さ
吸引時間など、より細心の注意が必要になります。
- 必要物品等(在宅ケア用)
◆主な必要物品等
吸引器(吸引瓶・接続チューブのセット)
吸引カテーテル(気管用)
カテーテルを浸しておく消毒液
滅菌蒸留水又は滅菌精製水
酒精綿又はヒビテン綿
消毒液と滅菌蒸留水又は滅菌精
製水を入れる滅菌容器(各1個ずつ)
滅菌ゴム手袋又は滅菌済みの
鑷子(セッシ)等
アンビューバッグ
パルスオキシメーター
◆その他の必要物品等
未滅菌の使い捨て手袋、手指用
の消毒液、汚染防止用の敷物
(タオルやシーツなど)
ガーグルベースン、使い捨ての
マスク、エプロン、清潔な布
ティッシュペーパー、ウェットティッシュなど
◆各物品等の説明
●吸引器(吸引瓶・接続チューブのセット)
吸引器は口腔・鼻腔・気管内
共に同じです。
吸引ビン、接続チューブなどが
セットされているものです。
家庭で使用する吸引器の種類は
家庭用吸引器、電気式吸引器、
ポータブル吸引器などで呼ばれている物です。
手動吸引器、足踏み吸引器、
コンセント式吸引器、電池式
吸引器などがあります。
●吸引カテーテル(気管用)
カテーテルのサイズ(外径)
は気管カニューレの内径の
1/2以下のものが推奨されています。
滅菌済みのディスポーザブル
(使い捨て)を使用します。
医療機関などでは1回限りの
使い捨てが原則ですがコストの
面から再利用するケースもあるようです。
家庭での使用も使い捨てが理想
ですが、コストの面から再利用
するケースは多いと思います。
使い捨てだとコストはかかり
ますが、感染のリスクが低く
なり手間も省けます。
人工呼吸器を装着している場合は
閉鎖式の気管吸引カテーテルか
開放式の気管吸引カテーテルを使用します。
●滅菌蒸留水又は滅菌精製水
吸引カテーテル内の通水と洗浄に使用します。
生理食塩水や白湯を使用する場合もあります。
●カテーテルを浸しておく消毒液
使い捨ての場合は消毒薬は必要ありません。
再利用する場合に使用します。
消毒薬の例としては、
次亜塩素酸ナトリウム
(商品名:ミルトンなど)や
塩化ベンザルコニウム液
(商品名:オスバンなど)に
アルコール(商品名:消毒用
エタノールなど)を添加した薬液などがあります。
*望ましいとされる薬液
12vol%エタノール添加塩化ベンザルコニウム液
●滅菌ゴム手袋又は滅菌済みの鑷子(ピンセット)など
日本呼吸療法医学会の「気管
吸引のガイドライ」によれば
清潔なものであれば未滅菌の
手袋でもいい様ですが、連続
して吸引する場合は滅菌され
たものがいいと思います。
滅菌済みの鑷子を使用する場合
は未滅菌の手袋を使用。
●酒精綿又はヒビテン綿
吸引後にカテーテルの外側に
付着した分泌物などを拭き取る時に使用します。
酒精綿は単包包装されたものが理想。
酒精綿(アルコール綿)が第一選択です。
アルコールにアレルギーのある
方は、ヒビテン綿(ヒビテン液
を浸み込ませた脱脂綿)を使用。
気管切開をされてご家庭で療養中
の方に対しては、医療機関や訪問
看護ステーションなどから訪問
看護師が指導にあたっていると思います。
必要物品や物品の管理に関しての
説明や指導もされていると思いま
すので、詳細に関しては担当の
看護師などにお尋ねください。
◆メモ◇~~~~~
消毒薬の種類
吸引カテーテルはセミクリティ
カル器具に分類される為、高水
準消毒又は中水準消毒になりま
すが、高水準消毒の薬液には
刺激性の強いものが多いため、
中水準消毒の薬液を使用したり
中水準と低水準を混和した薬液を使用。
中水準消毒薬がミルトン等の
次亜塩素酸ナトリウムや消毒
用エタノール等になります。
低水準消毒薬は塩化ベンザルコ
ニウム液(オスバンなど)になります。
清拭用(医療機器表面)の消毒薬
消毒用エタノール
70%イソプロパノール
ミルトンなど。
吸引カテーテル用(浸漬用)の消毒薬
ヒビテン、ヒビテンアルコールなど。
消毒薬に関しての詳細は下記をご参照ください。
当サイト内
消毒薬について
◇◆◇◆~~~~~
- 吸引前の準備
◆実施者の準備
●石鹸と流水で手指をよく洗い清潔にする
急いでいる場合は速乾性の消毒液で消毒。
●清潔なエプロンとマスクを着用
●手袋の着用
滅菌済みの鑷子を利用する場合は
未滅菌の使い捨て手袋を着用。
◆必要物品の確認と配置
●必要物品の確認をしながら操作がしやすいように配置する
気管切開されている方は、必要
物品の確認や配置は前もって準備
されていると思いますが消毒薬や
滅菌水などの補充や交換が必要になる場合もあります。
◆吸引器の準備
*吸引器の種類によって多少手順が異なるかもしれません。
●吸引器の圧を調節する
*吸引圧参考数値
気管カニューレからの吸引圧
100mmHg~150mmHg
単位はkPa(キロパスカル)で
表示されている文献が多くなってきています。
20kPa(キロパスカル)は約150
mmHg(水銀柱ミリメートル)です。
吸引カテーテルのサイズや種類等
によって圧は多少変化します。
●調節が終わったら電源をOFFにしておく
●吸引カテーテルと接続チューブをつなぐ
吸引用カテーテルの接続部分を
吸引器にセットしてある接続
チューブに接続しておきます。
吸引用カテーテルの接続部分だけ
を滅菌袋から出して気管内に挿入
する部分は袋から出さない。
この時はまだ滅菌手袋は着用しません。
吸引カテーテル(体内に挿入
する部分)に直に触れる時に着用します。
滅菌済の鑷子を利用する場合は
使い捨ての未滅菌の手袋を着用します。
◆対象者の方の準備
●頭部を枕などで少し拳上する
電動式のベッドであれば上体を少し拳上する。
●寝具や衣類などを汚染しないようにタオルやシーツなどを敷く
●顔を実施者の方に少し向ける
実施する前には必ず対象者の方に
説明をして、声をかけながら準備
を進めていきます。
実施者の準備、必要物品の確認
と配置、吸引器の準備、対象者
の方の準備が全て整ってから、
吸引することになります。
- 吸引の実践手順 例
気管切開をされてご家庭で療養中
の方に対しては、医療機関や訪問
看護ステーションなどから、訪問
看護師が指導にあたっていると思います。
必要物品や物品の管理に関しての
説明や指導もされていると思いま
すので詳細に関しては担当の看護
師などにお尋ねください。
一つの例として参考にして頂ければと思います。
◆吸引器を作動させるまでの操作(滅菌手袋)
吸引器を作動させるまでの滅菌
操作を重点に、滅菌手袋を使用
するケースと、滅菌済みの鑷子
を使用するケースに分けて簡単にまとめてみました。
●滅菌手袋を使用する場合
①実施者はゴム手袋などを着用
滅菌済みの吸引カテーテルを
把持する方(通常は利き手)に
滅菌手袋を着用し片方は未滅菌の手袋を着用。
先に未滅菌の手袋を着用してから
滅菌の手袋を着用します。
一人で滅菌手袋を着用する場合は
手袋の手首の部分だけに触れて着用します。
通常は手首の部分は反転した状態になっています。
内側が表になっていますので、
その部分を未滅菌を着用した手で持って着用します。
滅菌手袋を着用した後は滅菌され
ている吸引カテーテル以外の物に
は触れないように注意します。
②吸引カテーテルを袋から全部出す
未滅菌の手袋を着用した手で
前もって接続してある吸引カテ
ーテルの接続部位を把持し、
カテーテルを袋から全部出します。
気管内に挿入するカテーテルの
部分を滅菌手袋を着用した手で
把持しておきます。
③吸引器をONにする
接続部分を把持している方の
親指等で接続部分の少し手前
吸引カテーテルの境目あたりを
親指などで折り曲げ塞いでおきます。
カテーテルに調節口がついて
いる場合は開放しておきます。
空いている指でスイッチを入れます。
●滅菌済みの鑷子を使用する場合
①未滅菌の手袋の着用
滅菌済みの鑷子を使用する場合
は未滅菌の手袋を両手に着用。
②吸引カテーテルを袋から全部出す
吸引カテーテルの接続部位を
把持し、カテーテルを袋から全部出します。
気管内に挿入するカテーテルの
部分を、鑷子で把持しておきます。
③吸引器をONにする
接続部分を把持し親指で折り
曲げた状態で空いている指で
スイッチを入れます。
ここまでの手順で注意することは
滅菌カテーテルや鑷子、滅菌手袋
が不潔にならないようにすることです。
不潔にならないようにすること
とは、滅菌部分に滅菌以外の物が
触れないようにすることになります。
細かい手順は個人によって多少
違いはありますので、やり易い
方法で実施して下さい。
要は、滅菌の部分を不潔にしないことです。
最初はやりにくい部分もあります
が、慣れてくると手際よく出来るようになります。
◆吸引カテーテルの通水
吸引前の準備と手袋を着用して
吸引器のスイッチをONにして
から直接、対象者の方の痰等の
吸引を実施することになります。
①吸引カテーテルの把持
滅菌手袋又は滅菌鑷子で吸引
カテーテルの先から1/3~1/4
あたりを把持しておきます。
不潔にならず、操作しやすい箇所を把持します。
②滅菌水の吸引(通水)
親指などで塞いでいた吸引カテ
ーテルを開放して滅菌水を1~2回吸引します。
調節口がついている吸引カテー
テルを使用する場合は吸引時は
指で調節口を塞ぎます。
*通水の目的
・機械が正常に作動するか点検
・吸引圧の確認
・カテーテルに漏れや破損はないか点検
・カテーテルの滑りを良くする
・分泌物の通りを良くしたり付着し難くする等
消毒液で浸しておいた場合はカテ
ーテル内の消毒液を流す目的もあります。
痰等の吸引後はカテーテル内を
洗い流して綺麗にしておきます。
◆気管カニューレ内(人工気道内)の吸引
痰の量や留まっている部位にも
よりますが痰がカニューレ内に
存在している場合が多いので、
先に気管カニューレ内(人工
気道内)を吸引しておきます。
①カテーテルを把持する
把持する部位は挿入する側の
カテーテルの先端から
気管カニューレの長さプラス
約1cmの長さと同じ箇所を把持しておきます。
②吸引圧をかけずに挿入する
挿入するときはカテーテルを指
で折って塞ぐか、調節口を開放
にして陰圧をかけずに挿入します。
低酸素血症や気道内粘膜の損傷
などの合併症を防止する為です。
把持している部位が気管カニュ
ーレの入口に達する迄ゆっくり挿入します。
③挿入後、陰圧をかけて吸引する
カテーテルを塞いでいた指を
放して(又は調節口を塞ぐ)陰圧をかけます。
痰などの吸引音が聴こえたら
吸引カテーテル自体を指で回し
ながら同時に小さく円を描く様
にカテーテル全体を回して、
ゆっくり引き上げていきます。
鑷子の場合はカテーテル全体を
ゆっくり回して引き上げていきます。
●吸引方法
吸引時のカテーテルの操作方法
は実施者によって多少違いはあります。
又分泌物(痰も含む)の性状に
よっても異なる場合もあります。
だいたい以下の様な吸引方法があります。
・カテーテル自体を把持している指(通常親指と人差し指)で回す
・小さく円を描くようにしてカテーテル全体を動かす
・上記二つの動作を同時に実施
・カテーテルを引き上げるだけ
・人工気道内の場合は多少上下に動かす
●吸引時のコツ
挿入後、陰圧をかけながら引き
もどしていく時に痰等の吸引音
が聴こえたら引き戻しを一時的
に止め、カテーテル自体を指で
回したり、カテーテル全体を
小さく円を描くように動かしてみます。
ある程度吸引音が聴こえなくな
ったら再びゆっくり引き上げます。
*細かい手順は個人によって多少違
いはありますので、やり易い方法で実施して下さい。
◆続けて吸引する場合
1回の吸引で不十分な場合や
吸引が引きがねとなって咳が
誘発され痰が再びカニューレ内
にあがってくる場合もあります。
そういう場合は続けて吸引する必要があります。
一旦引き上げたカテーテルは
アルコール綿などで拭いたあと
滅菌水で通水してから挿入します。
その後は1回目と同じ操作で吸引します。
気管カニューレ内(人工気道内)
の吸引の場合は気管壁を傷つける
心配はありませんが、吸引時間や
挿入の長さには注意します。
気管カニューレ内の吸引は殆どが
5秒~10秒以内で出来ると思います。
挿入する長さはカニューレの長さ
に合わせるか1cmほど深く挿入します。
事前にカニューレの長さを把握しておきます。
挿入する長さにあわせて吸引カテ
ーテルの把持する箇所を決めて
おくと気管壁を傷つけるリスクが低くなります。
◆吸引後の操作
①アルコール綿又は滅菌ガーゼ等でカテーテルの外側を綺麗にする
1回の吸引が終わったら、
その都度外側、内側を綺麗にします。
アルコールにアレルギーのある人
滅菌ガーゼや他の消毒薬を使用。
滅菌ガーゼは滅菌水で湿らせて
使用すると拭きやすい。
続けて吸引する場合は消毒効果
のあるアルコール綿などを使用。
②滅菌水を吸引する(通水)
カテーテル内も洗い流してきれいにします。
1回の吸引で、ある程度痰などが除去されたら終了です。
③電源を切る
通水が終わったら、吸引カテー
テルを指で塞ぐ又は調節口を
開放して電源をOFFにします。
その後、吸引カテーテルを取り
外し消毒薬に浸すか破棄します。
細かい手順は個人によって多少
違いはありますので、やり易い
方法で実施して下さい。
要は、滅菌の部分を不潔にしないことです。
最初はやりにくい部分もあります
が慣れてくると手際よく出来るようになります。
吸引が終わったら対象者の方の
様子を観察し問題がなければ、
後片付けになります。
廃棄するもの、洗浄、消毒する
ものなど必要に応じて対処します。
- 吸引時の注意点
◆吸引時間
1回の吸引時間は10秒以内。
吸引時間が長いと合併症のリスクが高まります。
長くても15秒以内。
◆挿入する長さ
挿入する長さは前もって印をつけておくと安全です。
目盛の付いたカテーテルの使用をお勧めします。
気管カニューレ内(人工気道
内)の場合は、気管カニューレ
の長さ、又は気管カニューレの
長さプラス約1cm
★気管内(人の気管内)の場合
気管カニューレの口から気管
分岐部までの長さが基本になります。
体格などによって長さは異なります。
成人の場合は、目安としては、
15~20cm
上記より深く挿入する場合は
気管支内まで挿入することにな
り合併症のリスクがより高くなります。
◆その他の注意点
上下にカテーテルを動かすこと
は気管壁を傷つける危険があるので避けます。
気管カニューレ内(人工気道内)
であれば、傷つける危険はあり
ませんが吸引時間や挿入の長さには注意します。
吸引圧が異常に上がる場合は
速やかに陰圧を止めます。
指でカテーテルを折って塞ぐか
調節口を開放して圧を止めます。
気管内(気管カニューレより深
い部分)を吸引する時は陰圧を
かけながら引き戻していく時に
痰などの吸引音が聞こえなくな
った時点で、吸引圧を止めて
カテーテルを引き上げます。
◆メモ◇~~~~~
気管内(人の気管内)の場合
カニューレ内(人工気道内)の
吸引が終わっても気管の奥や
気管支内に痰が絡んでカニュー
レ内まで上がってこない様で
あれば、気管内の吸引が必要になる時もあります。
人工気道内(気管カニューレ
内)ではなく人の気管内の分泌
物を吸引する場合は、気管カニ
ューレの入り口から気管分岐部
までの長さになります。
成人の場合の目安としては
15~20cm迄挿入します。
*個人差があります。
気管の奥や気管支内を吸引する
場合は気管壁の損傷や低酸素
血症などの合併症のリスクが
人工気道内より高くなります
のでさらに注意が必要です。
介護職員が吸引できるのは、
気管カニューレ内(人工気道内)迄です。
介護職員の気管内吸引は、
気管カニューレ内(人工気道内)のみ可能です。
詳細は下記ご参照ください。
介護職員等の医療行為
*当サイト内
◇◆◇◆~~~~~
- 家庭での廃棄物の処理方法など
◆廃棄するもの
気管切開をされてご家庭で療養中
の方に対しては、医療機関や訪問
看護ステーション等から訪問看護
師が指導にあたっていると思います。
詳細に関しては担当の看護師等にお尋ねください。
一つの例として参考にして頂ければと思います。
吸引が終わったら患者さんの
様子を観察し問題がなければ、
後片付けになります。
廃棄するもの、洗浄、消毒する
ものなど必要に応じて対処します。
廃棄物にも種類があり家庭から
出される廃棄物は一般廃棄物に区分されています。
家庭など医療関係機関以外で
医療処置を行った場合に発生
する廃棄物を在宅医療廃棄物といいます。
気管内吸引に限っていえば、
吸引カテーテル、手袋、
ガーゼ、アルコール綿等が
在宅医療廃棄物になります。
◆処理責任
家庭から出される一般廃棄物の
処理責任は市町村にあります。
在宅医療廃棄物も家庭から出さ
れる一般廃棄物にあたるため、
処理責任は市町村になります。
◆回収方法
各自治体で取り扱い方は異なり
ますので事前に各市区町村や
訪問看護師などに確認する必要があります。
例としては、非鋭利(ここでは
上記に挙げたもの)でかつ、
通常感染のおそれのないもの
多量の血液等が付着していない
物は家庭での利便性を考慮して
通常のゴミ収集所で回収する所が多いようです。
感染のおそれのある廃棄物や
鋭利なもの(注射針)などに
関しては医療機関や訪問看護
ステーション、薬局等が回収
している地域が多いようです。
感染症の方に関しては担当医師等
の指導を受けて適切な処理をする必要があります。
◆具体的な処理方法:例
*各市町村によって異なります。
●吸引カテーテル:例
通常のゴミ収集所で回収可能な
場合は不燃ゴミとしてだします。
血液や痰等が付着している物は
丈夫なプラスチック製の袋等に
入れてきちんと閉じておき医療
機関や訪問看護ステーション
薬局などで回収してもらいます。
●ガーゼやアルコール綿など:例
通常のゴミ収集所で回収可能な
場合は可燃ゴミとして出します。
新聞紙などでよく包んでから早めに出します。
血液や痰などが付着して感染の
おそれのあるものは医療機関や
訪問看護ステーションなどで回収してもらいます。
自治体により不燃、可燃ゴミの
区別も異なるところもあるので
事前に確認して下さい。
◆排液水などの廃棄
●吸引瓶内に溜まった排液水、使用した残りの滅菌水を廃棄
吸引瓶内の排液が7~8割程度溜まる前に捨てます。
溜まっていなくても1日1回は廃棄します。
通常はトイレに流します。
感染症の方の場合は担当医師や
訪問看護師などに確認して下さい。
- 吸引後の物品等の管理
気管切開をされてご家庭で療養
中の方に対しては、医療機関や
訪問看護ステーション等から
訪問看護師が指導にあたっていると思います。
必要物品や物品の管理に関して
の説明や指導もされていると思
いますので詳細に関しては担当
の看護師などにお尋ね下さい。
◆消毒・洗浄
再利用する場合の吸引カテーテ
ルは洗浄、消毒してよく乾燥させておきます。
汚染した鑷子なども洗浄、消毒しておきます。
鑷子の場合は煮沸消毒も可能です。
沸騰してから15分間煮沸します。
吸引瓶は洗剤で綺麗に洗浄しておきます。
気管カニューレからの気管内吸引
の場合は家庭でも滅菌操作が理想
ですが、中水準消毒(吸引カテ
ーテルの場合)や煮沸消毒(鑷子
の場合)をしたあと、再利用するケースもあります。
滅菌する場合は、訪問看護師などに依頼します。
◆吸引カテーテル
理想は、吸引ごとに廃棄し、
新しい滅菌カテーテルに交換
することが理想ですがコスト面
などを考慮した場合は再利用します。
1日1回は新しい滅菌カテーテル
又は滅菌済みカテーテル(再利用)と交換。
●24時間(1日以内)で再利用する場合
吸引カテーテルは吸引が終わっ
たらすぐに外側はアルコール綿
などで拭いて綺麗にします。
内側は滅菌水で通水後、消毒液
も吸引して消毒液に浸しておきます。
消毒液を吸引して通しておく
ことで吸引瓶につながっている
チューブ内の消毒にもなります。
●滅菌して再利用する場合
1日1回は滅菌されたカテーテルと交換。
汚染されたカテーテルは洗浄し
て乾燥させておきます。
家庭での滅菌は難しいため、
訪問看護師などに依頼します。
◆吸引瓶など
●吸引瓶と吸引瓶につながっているチューブや吸引器本体の表面
吸引瓶は台所用の洗剤と水道水
で内側も外側も綺麗に洗います
表面は目に見える汚染があれば
ティッシュなどで取り除いた後
アルコールなどを浸み込ませた
ガーゼなどで綺麗に拭く。
目に見える汚染がない場合でも
1日1回はアルコール清拭。
清拭用(医療機器表面)の
消毒薬には消毒用エタノール
70%イソプロパノール、ミルトンなどがあります。
アルコールに不向きな機器もある
為、機器の材質により消毒薬を選択します。
吸引器の種類により取り扱い方は異なります。
●鑷子(ピンセット)
鑷子を使用した場合は洗剤と水道水で洗浄。
一度使用した鑷子は滅菌してから再利用します。
家庭での滅菌は難しいと思います
ので通常は訪問看護師などに依頼します。
鑷子立てを利用している場合は、
鑷子立てが汚染された場合は洗浄しておく。
滅菌された鑷子立てには、使用した鑷子は入れません。
各自治体、医療機関や訪問看護
ステーション等により貸出可能
な医療機器は多少異なります。
◆次回への準備
●洗浄した吸引瓶(排液瓶)内に消毒液を入れておく
水道水を入れたり、乾燥させて
何も入れない場合もあるようです。
●滅菌水や消毒薬の確認と補充
滅菌コップには未だ入れずに
ボトル内の確認だけします。
◇参考文献
書籍
「最新医学大辞典(医歯薬出版株式会社)
「ナース必携最新基本手技AtoZ」EXPERT・NURSE 小学館
「写真でわかる基礎看護技術① 看護技術を基礎から理解!」インターメディカ
「家庭医学大百科」主婦の友社
インターネット
厚生労働省HP
2.喀痰の吸引
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/
kaigosyokuin/dl/text_03.pdf


