気管カニューレからの吸引


  • 気管カニューレからの吸引  項目一覧
    滅菌操作の必要性
    必要物品等(在宅ケア用)
    吸引前の準備
    吸引の実践手順
    吸引時の注意点
    家庭での廃棄物の処理方法など
    吸引後の物品等の管理


  • 滅菌操作の必要性
    ◆気管カニューレとは?
    気管カニューレは直接気管内に挿入される管です。
    外から気管を切開して穴をあけ
    (気管切開)カニューレを挿入します。
    カニューレの種類は単管(管
    が一つだけ)、複管(内管と
    外管)、カフ付き、カフなし
    などいくつかあります。
    気管カニューレを通して呼吸を
    したり、痰やその他の分泌物等
    を吸引することになります。


    ◆口腔及び鼻腔内の吸引と異なる点
    空気が肺胞(ここでガス交換)
    に到達するまでの経路は、
    口や鼻→咽頭→喉頭→気管
    →気管支→細気管支→肺胞
    の順です。

    外気は口や鼻、咽頭、喉頭を
    通過しながら雑菌や埃等が少な
    くなり適度な湿度も加わって、
    気管内に入ります。

    気管切開をされている方は、
    上記の経路は通らずに外気が
    直接気管内に入ることになります。
    その結果、肺炎や気管支炎等を
    引き起こす危険が高くなります。
    その為、滅菌操作でないとさら
    に感染症を引き起こしやすくなります。
    滅菌操作を実施することにより
    雑菌などを増やさないことが重要になります。

    滅菌操作に伴い、カテーテルや
    消毒薬等の管理も口や鼻の吸引
    とは異なり厳格になります。
    又、気管内の粘膜を傷つけない
    様に吸引圧や挿入する管の長さ
    吸引時間など、より細心の注意が必要になります。



  • 必要物品等(在宅ケア用)
    ◆主な必要物品等
    吸引器(吸引瓶・接続チューブのセット) 
    吸引カテーテル(気管用) 
    カテーテルを浸しておく消毒液
    滅菌蒸留水又は滅菌精製水
    酒精綿又はヒビテン綿
    消毒液と滅菌蒸留水又は滅菌精
    製水を入れる滅菌容器(各1個ずつ)
    滅菌ゴム手袋又は滅菌済みの
    鑷子(セッシ)等 
    アンビューバッグ
    パルスオキシメーター


    ◆その他の必要物品等
    未滅菌の使い捨て手袋、手指用
    の消毒液、汚染防止用の敷物
    (タオルやシーツなど)
    ガーグルベースン、使い捨ての
    マスク、エプロン、清潔な布
    ティッシュペーパー、ウェットティッシュなど


    ◆各物品等の説明
    ●吸引器(吸引瓶・接続チューブのセット)
    吸引器は口腔・鼻腔・気管内
    共に同じです。
    吸引ビン、接続チューブなどが
    セットされているものです。
    家庭で使用する吸引器の種類は
    家庭用吸引器、電気式吸引器、
    ポータブル吸引器などで呼ばれている物です。
    手動吸引器、足踏み吸引器、
    コンセント式吸引器、電池式
    吸引器などがあります。

    ●吸引カテーテル(気管用)
    カテーテルのサイズ(外径)
    は気管カニューレの内径の
    1/2以下のものが推奨されています。
    滅菌済みのディスポーザブル
    (使い捨て)を使用します。 
    医療機関などでは1回限りの
    使い捨てが原則ですがコストの
    面から再利用するケースもあるようです。

    家庭での使用も使い捨てが理想
    ですが、コストの面から再利用
    するケースは多いと思います。

    使い捨てだとコストはかかり
    ますが、感染のリスクが低く
    なり手間も省けます。

    人工呼吸器を装着している場合は
    閉鎖式の気管吸引カテーテルか
    開放式の気管吸引カテーテルを使用します。

    ●滅菌蒸留水又は滅菌精製水
    吸引カテーテル内の通水と洗浄に使用します。
    生理食塩水や白湯を使用する場合もあります。

    ●カテーテルを浸しておく消毒液
    使い捨ての場合は消毒薬は必要ありません。
    再利用する場合に使用します。

    消毒薬の例としては、
    次亜塩素酸ナトリウム
    (商品名:ミルトンなど)や
    塩化ベンザルコニウム液
    (商品名:オスバンなど)に
    アルコール(商品名:消毒用
    エタノールなど)を添加した薬液などがあります。

    *望ましいとされる薬液
    12vol%エタノール添加塩化ベンザルコニウム液

    ●滅菌ゴム手袋又は滅菌済みの鑷子(ピンセット)など
    日本呼吸療法医学会の「気管
    吸引のガイドライ」によれば
    清潔なものであれば未滅菌の
    手袋でもいい様ですが、連続
    して吸引する場合は滅菌され
    たものがいいと思います。
    滅菌済みの鑷子を使用する場合
    は未滅菌の手袋を使用。

    ●酒精綿又はヒビテン綿
    吸引後にカテーテルの外側に
    付着した分泌物などを拭き取る時に使用します。
    酒精綿は単包包装されたものが理想。
    酒精綿(アルコール綿)が第一選択です。
    アルコールにアレルギーのある
    方は、ヒビテン綿(ヒビテン液
    を浸み込ませた脱脂綿)を使用。

    気管切開をされてご家庭で療養中
    の方に対しては、医療機関や訪問
    看護ステーションなどから訪問
    看護師が指導にあたっていると思います。
    必要物品や物品の管理に関しての
    説明や指導もされていると思いま
    すので、詳細に関しては担当の
    看護師などにお尋ねください。

    ◆メモ◇~~~~~
    消毒薬の種類
    吸引カテーテルはセミクリティ
    カル器具に分類される為、高水
    準消毒又は中水準消毒になりま
    すが、高水準消毒の薬液には
    刺激性の強いものが多いため、
    中水準消毒の薬液を使用したり
    中水準と低水準を混和した薬液を使用。
    中水準消毒薬がミルトン等の
    次亜塩素酸ナトリウムや消毒
    用エタノール等になります。
    低水準消毒薬は塩化ベンザルコ
    ニウム液(オスバンなど)になります。

    清拭用(医療機器表面)の消毒薬
    消毒用エタノール
    70%イソプロパノール
    ミルトンなど。

    吸引カテーテル用(浸漬用)の消毒薬
    ヒビテン、ヒビテンアルコールなど。

    消毒薬に関しての詳細は下記をご参照ください。
    当サイト内
    消毒薬について

    ◇◆◇◆~~~~~



  • 吸引前の準備
    ◆実施者の準備
    ●石鹸と流水で手指をよく洗い清潔にする
    急いでいる場合は速乾性の消毒液で消毒。

    ●清潔なエプロンとマスクを着用

    ●手袋の着用
    滅菌済みの鑷子を利用する場合は
    未滅菌の使い捨て手袋を着用。


    ◆必要物品の確認と配置
    ●必要物品の確認をしながら操作がしやすいように配置する
    気管切開されている方は、必要
    物品の確認や配置は前もって準備
    されていると思いますが消毒薬や
    滅菌水などの補充や交換が必要になる場合もあります。


    ◆吸引器の準備
    *吸引器の種類によって多少手順が異なるかもしれません。
    ●吸引器の圧を調節する
    *吸引圧参考数値
     気管カニューレからの吸引圧
     100mmHg~150mmHg

    単位はkPa(キロパスカル)で
    表示されている文献が多くなってきています。
    20kPa(キロパスカル)は約150
    mmHg(水銀柱ミリメートル)です。
    吸引カテーテルのサイズや種類等
    によって圧は多少変化します。

    ●調節が終わったら電源をOFFにしておく

    ●吸引カテーテルと接続チューブをつなぐ
    吸引用カテーテルの接続部分を
    吸引器にセットしてある接続
    チューブに接続しておきます。
    吸引用カテーテルの接続部分だけ
    を滅菌袋から出して気管内に挿入
    する部分は袋から出さない。
    この時はまだ滅菌手袋は着用しません。
    吸引カテーテル(体内に挿入
    する部分)に直に触れる時に着用します。
    滅菌済の鑷子を利用する場合は
    使い捨ての未滅菌の手袋を着用します。


    ◆対象者の方の準備
    ●頭部を枕などで少し拳上する
    電動式のベッドであれば上体を少し拳上する。

    ●寝具や衣類などを汚染しないようにタオルやシーツなどを敷く

    ●顔を実施者の方に少し向ける

    実施する前には必ず対象者の方に
    説明をして、声をかけながら準備
    を進めていきます。

    実施者の準備、必要物品の確認
    と配置、吸引器の準備、対象者
    の方の準備が全て整ってから、
    吸引することになります。



  • 吸引の実践手順 例
    気管切開をされてご家庭で療養中
    の方に対しては、医療機関や訪問
    看護ステーションなどから、訪問
    看護師が指導にあたっていると思います。
    必要物品や物品の管理に関しての
    説明や指導もされていると思いま
    すので詳細に関しては担当の看護
    師などにお尋ねください。
    一つの例として参考にして頂ければと思います。

    ◆吸引器を作動させるまでの操作(滅菌手袋)
    吸引器を作動させるまでの滅菌
    操作を重点に、滅菌手袋を使用
    するケースと、滅菌済みの鑷子
    を使用するケースに分けて簡単にまとめてみました。

    ●滅菌手袋を使用する場合
    ①実施者はゴム手袋などを着用
    滅菌済みの吸引カテーテルを
    把持する方(通常は利き手)に
    滅菌手袋を着用し片方は未滅菌の手袋を着用。

    先に未滅菌の手袋を着用してから
    滅菌の手袋を着用します。
    一人で滅菌手袋を着用する場合は
    手袋の手首の部分だけに触れて着用します。
    通常は手首の部分は反転した状態になっています。
    内側が表になっていますので、
    その部分を未滅菌を着用した手で持って着用します。

    滅菌手袋を着用した後は滅菌され
    ている吸引カテーテル以外の物に
    は触れないように注意します。

    ②吸引カテーテルを袋から全部出す
    未滅菌の手袋を着用した手で
    前もって接続してある吸引カテ
    ーテルの接続部位を把持し、
    カテーテルを袋から全部出します。
    気管内に挿入するカテーテルの
    部分を滅菌手袋を着用した手で
    把持しておきます。

    ③吸引器をONにする
    接続部分を把持している方の
    親指等で接続部分の少し手前
    吸引カテーテルの境目あたりを
    親指などで折り曲げ塞いでおきます。
    カテーテルに調節口がついて
    いる場合は開放しておきます。
    空いている指でスイッチを入れます。

    ●滅菌済みの鑷子を使用する場合
    ①未滅菌の手袋の着用
    滅菌済みの鑷子を使用する場合
    は未滅菌の手袋を両手に着用。

    ②吸引カテーテルを袋から全部出す
    吸引カテーテルの接続部位を
    把持し、カテーテルを袋から全部出します。
    気管内に挿入するカテーテルの
    部分を、鑷子で把持しておきます。

    ③吸引器をONにする
    接続部分を把持し親指で折り
    曲げた状態で空いている指で
    スイッチを入れます。

    ここまでの手順で注意することは
    滅菌カテーテルや鑷子、滅菌手袋
    が不潔にならないようにすることです。
    不潔にならないようにすること
    とは、滅菌部分に滅菌以外の物が
    触れないようにすることになります。

    細かい手順は個人によって多少
    違いはありますので、やり易い
    方法で実施して下さい。
    要は、滅菌の部分を不潔にしないことです。
    最初はやりにくい部分もあります
    が、慣れてくると手際よく出来るようになります。


    ◆吸引カテーテルの通水
    吸引前の準備と手袋を着用して
    吸引器のスイッチをONにして
    から直接、対象者の方の痰等の
    吸引を実施することになります。 

    ①吸引カテーテルの把持
    滅菌手袋又は滅菌鑷子で吸引
    カテーテルの先から1/3~1/4
    あたりを把持しておきます。
    不潔にならず、操作しやすい箇所を把持します。

    ②滅菌水の吸引(通水)
    親指などで塞いでいた吸引カテ
    ーテルを開放して滅菌水を1~2回吸引します。
    調節口がついている吸引カテー
    テルを使用する場合は吸引時は
    指で調節口を塞ぎます。

    *通水の目的
    ・機械が正常に作動するか点検
    ・吸引圧の確認
    ・カテーテルに漏れや破損はないか点検
    ・カテーテルの滑りを良くする
    ・分泌物の通りを良くしたり付着し難くする等

    消毒液で浸しておいた場合はカテ
    ーテル内の消毒液を流す目的もあります。

    痰等の吸引後はカテーテル内を
    洗い流して綺麗にしておきます。


    ◆気管カニューレ内(人工気道内)の吸引
    痰の量や留まっている部位にも
    よりますが痰がカニューレ内に
    存在している場合が多いので、
    先に気管カニューレ内(人工
    気道内)を吸引しておきます。

    ①カテーテルを把持する
    把持する部位は挿入する側の
    カテーテルの先端から
    気管カニューレの長さプラス
    約1cmの長さと同じ箇所を把持しておきます。

    ②吸引圧をかけずに挿入する
    挿入するときはカテーテルを指
    で折って塞ぐか、調節口を開放
    にして陰圧をかけずに挿入します。
    低酸素血症や気道内粘膜の損傷
    などの合併症を防止する為です。
    把持している部位が気管カニュ
    ーレの入口に達する迄ゆっくり挿入します。

    ③挿入後、陰圧をかけて吸引する
    カテーテルを塞いでいた指を
    放して(又は調節口を塞ぐ)陰圧をかけます。
    痰などの吸引音が聴こえたら
    吸引カテーテル自体を指で回し
    ながら同時に小さく円を描く様
    にカテーテル全体を回して、
    ゆっくり引き上げていきます。

    鑷子の場合はカテーテル全体を
    ゆっくり回して引き上げていきます。

    ●吸引方法
    吸引時のカテーテルの操作方法
    は実施者によって多少違いはあります。
    又分泌物(痰も含む)の性状に
    よっても異なる場合もあります。
    だいたい以下の様な吸引方法があります。
    ・カテーテル自体を把持している指(通常親指と人差し指)で回す
    ・小さく円を描くようにしてカテーテル全体を動かす
    ・上記二つの動作を同時に実施
    ・カテーテルを引き上げるだけ
    ・人工気道内の場合は多少上下に動かす

    ●吸引時のコツ
    挿入後、陰圧をかけながら引き
    もどしていく時に痰等の吸引音
    が聴こえたら引き戻しを一時的
    に止め、カテーテル自体を指で
    回したり、カテーテル全体を
    小さく円を描くように動かしてみます。
    ある程度吸引音が聴こえなくな
    ったら再びゆっくり引き上げます。

    *細かい手順は個人によって多少違
    いはありますので、やり易い方法で実施して下さい。


    ◆続けて吸引する場合
    1回の吸引で不十分な場合や
    吸引が引きがねとなって咳が
    誘発され痰が再びカニューレ内
    にあがってくる場合もあります。
    そういう場合は続けて吸引する必要があります。
    一旦引き上げたカテーテルは
    アルコール綿などで拭いたあと
    滅菌水で通水してから挿入します。
    その後は1回目と同じ操作で吸引します。

    気管カニューレ内(人工気道内)
    の吸引の場合は気管壁を傷つける
    心配はありませんが、吸引時間や
    挿入の長さには注意します。
    気管カニューレ内の吸引は殆どが
    5秒~10秒以内で出来ると思います。
    挿入する長さはカニューレの長さ
    に合わせるか1cmほど深く挿入します。
    事前にカニューレの長さを把握しておきます。
    挿入する長さにあわせて吸引カテ
    ーテルの把持する箇所を決めて
    おくと気管壁を傷つけるリスクが低くなります。


    ◆吸引後の操作
    ①アルコール綿又は滅菌ガーゼ等でカテーテルの外側を綺麗にする
    1回の吸引が終わったら、
    その都度外側、内側を綺麗にします。
    アルコールにアレルギーのある人
    滅菌ガーゼや他の消毒薬を使用。
    滅菌ガーゼは滅菌水で湿らせて
    使用すると拭きやすい。
    続けて吸引する場合は消毒効果
    のあるアルコール綿などを使用。

    ②滅菌水を吸引する(通水)
    カテーテル内も洗い流してきれいにします。

    1回の吸引で、ある程度痰などが除去されたら終了です。

    ③電源を切る
    通水が終わったら、吸引カテー
    テルを指で塞ぐ又は調節口を
    開放して電源をOFFにします。
    その後、吸引カテーテルを取り
    外し消毒薬に浸すか破棄します。

    細かい手順は個人によって多少
    違いはありますので、やり易い
    方法で実施して下さい。
    要は、滅菌の部分を不潔にしないことです。
    最初はやりにくい部分もあります
    が慣れてくると手際よく出来るようになります。

    吸引が終わったら対象者の方の
    様子を観察し問題がなければ、
    後片付けになります。
    廃棄するもの、洗浄、消毒する
    ものなど必要に応じて対処します。



  • 吸引時の注意点
    ◆吸引時間
    1回の吸引時間は10秒以内。
    吸引時間が長いと合併症のリスクが高まります。
    長くても15秒以内。


    ◆挿入する長さ
    挿入する長さは前もって印をつけておくと安全です。
    目盛の付いたカテーテルの使用をお勧めします。
    気管カニューレ内(人工気道
    内)の場合は、気管カニューレ
    の長さ、又は気管カニューレの
    長さプラス約1cm

    ★気管内(人の気管内)の場合
    気管カニューレの口から気管
    分岐部までの長さが基本になります。
    体格などによって長さは異なります。
    成人の場合は、目安としては、
    15~20cm 
    上記より深く挿入する場合は
    気管支内まで挿入することにな
    り合併症のリスクがより高くなります。


    ◆その他の注意点
    上下にカテーテルを動かすこと
    は気管壁を傷つける危険があるので避けます。
    気管カニューレ内(人工気道内)
    であれば、傷つける危険はあり
    ませんが吸引時間や挿入の長さには注意します。

    吸引圧が異常に上がる場合は
    速やかに陰圧を止めます。
    指でカテーテルを折って塞ぐか
    調節口を開放して圧を止めます。

    気管内(気管カニューレより深
    い部分)を吸引する時は陰圧を
    かけながら引き戻していく時に
    痰などの吸引音が聞こえなくな
    った時点で、吸引圧を止めて
    カテーテルを引き上げます。

    ◆メモ◇~~~~~
    気管内(人の気管内)の場合
    カニューレ内(人工気道内)の
    吸引が終わっても気管の奥や
    気管支内に痰が絡んでカニュー
    レ内まで上がってこない様で
    あれば、気管内の吸引が必要になる時もあります。
    人工気道内(気管カニューレ
    内)ではなく人の気管内の分泌
    物を吸引する場合は、気管カニ
    ューレの入り口から気管分岐部
    までの長さになります。
    成人の場合の目安としては
    15~20cm迄挿入します。
    *個人差があります。

    気管の奥や気管支内を吸引する
    場合は気管壁の損傷や低酸素
    血症などの合併症のリスクが
    人工気道内より高くなります
    のでさらに注意が必要です。

    介護職員が吸引できるのは、
    気管カニューレ内(人工気道内)迄です。
    介護職員の気管内吸引は、
    気管カニューレ内(人工気道内)のみ可能です。

    詳細は下記ご参照ください。
    介護職員等の医療行為
    *当サイト内
    ◇◆◇◆~~~~~



  • 家庭での廃棄物の処理方法など
    ◆廃棄するもの
    気管切開をされてご家庭で療養中
    の方に対しては、医療機関や訪問
    看護ステーション等から訪問看護
    師が指導にあたっていると思います。
    詳細に関しては担当の看護師等にお尋ねください。
    一つの例として参考にして頂ければと思います。

    吸引が終わったら患者さんの
    様子を観察し問題がなければ、
    後片付けになります。
    廃棄するもの、洗浄、消毒する
    ものなど必要に応じて対処します。

    廃棄物にも種類があり家庭から
    出される廃棄物は一般廃棄物に区分されています。
    家庭など医療関係機関以外で
    医療処置を行った場合に発生
    する廃棄物を在宅医療廃棄物といいます。
    気管内吸引に限っていえば、
    吸引カテーテル、手袋、
    ガーゼ、アルコール綿等が
    在宅医療廃棄物になります。


    ◆処理責任
    家庭から出される一般廃棄物の
    処理責任は市町村にあります。
    在宅医療廃棄物も家庭から出さ
    れる一般廃棄物にあたるため、
    処理責任は市町村になります。


    ◆回収方法
    各自治体で取り扱い方は異なり
    ますので事前に各市区町村や
    訪問看護師などに確認する必要があります。

    例としては、非鋭利(ここでは
    上記に挙げたもの)でかつ、
    通常感染のおそれのないもの
    多量の血液等が付着していない
    物は家庭での利便性を考慮して
    通常のゴミ収集所で回収する所が多いようです。

    感染のおそれのある廃棄物や
    鋭利なもの(注射針)などに
    関しては医療機関や訪問看護
    ステーション、薬局等が回収
    している地域が多いようです。

    感染症の方に関しては担当医師等
    の指導を受けて適切な処理をする必要があります。


    ◆具体的な処理方法:例
    *各市町村によって異なります。
    ●吸引カテーテル:例
    通常のゴミ収集所で回収可能な
    場合は不燃ゴミとしてだします。
    血液や痰等が付着している物は
    丈夫なプラスチック製の袋等に
    入れてきちんと閉じておき医療
    機関や訪問看護ステーション
    薬局などで回収してもらいます。

    ●ガーゼやアルコール綿など:例
    通常のゴミ収集所で回収可能な
    場合は可燃ゴミとして出します。
    新聞紙などでよく包んでから早めに出します。
    血液や痰などが付着して感染の
    おそれのあるものは医療機関や
    訪問看護ステーションなどで回収してもらいます。

    自治体により不燃、可燃ゴミの
    区別も異なるところもあるので
    事前に確認して下さい。


    ◆排液水などの廃棄
    ●吸引瓶内に溜まった排液水、使用した残りの滅菌水を廃棄
    吸引瓶内の排液が7~8割程度溜まる前に捨てます。
    溜まっていなくても1日1回は廃棄します。
    通常はトイレに流します。
    感染症の方の場合は担当医師や
    訪問看護師などに確認して下さい。

  • 吸引後の物品等の管理
    気管切開をされてご家庭で療養
    中の方に対しては、医療機関や
    訪問看護ステーション等から
    訪問看護師が指導にあたっていると思います。
    必要物品や物品の管理に関して
    の説明や指導もされていると思
    いますので詳細に関しては担当
    の看護師などにお尋ね下さい。

    ◆消毒・洗浄
    再利用する場合の吸引カテーテ
    ルは洗浄、消毒してよく乾燥させておきます。
    汚染した鑷子なども洗浄、消毒しておきます。
    鑷子の場合は煮沸消毒も可能です。
    沸騰してから15分間煮沸します。
    吸引瓶は洗剤で綺麗に洗浄しておきます。

    気管カニューレからの気管内吸引
    の場合は家庭でも滅菌操作が理想
    ですが、中水準消毒(吸引カテ
    ーテルの場合)や煮沸消毒(鑷子
    の場合)をしたあと、再利用するケースもあります。
    滅菌する場合は、訪問看護師などに依頼します。


    ◆吸引カテーテル
    理想は、吸引ごとに廃棄し、
    新しい滅菌カテーテルに交換
    することが理想ですがコスト面
    などを考慮した場合は再利用します。
    1日1回は新しい滅菌カテーテル
    又は滅菌済みカテーテル(再利用)と交換。

    ●24時間(1日以内)で再利用する場合
    吸引カテーテルは吸引が終わっ
    たらすぐに外側はアルコール綿
    などで拭いて綺麗にします。
    内側は滅菌水で通水後、消毒液
    も吸引して消毒液に浸しておきます。
    消毒液を吸引して通しておく
    ことで吸引瓶につながっている
    チューブ内の消毒にもなります。

    ●滅菌して再利用する場合
    1日1回は滅菌されたカテーテルと交換。
    汚染されたカテーテルは洗浄し
    て乾燥させておきます。
    家庭での滅菌は難しいため、
    訪問看護師などに依頼します。


    ◆吸引瓶など
    ●吸引瓶と吸引瓶につながっているチューブや吸引器本体の表面
    吸引瓶は台所用の洗剤と水道水
    で内側も外側も綺麗に洗います
    表面は目に見える汚染があれば
    ティッシュなどで取り除いた後
    アルコールなどを浸み込ませた
    ガーゼなどで綺麗に拭く。
    目に見える汚染がない場合でも
    1日1回はアルコール清拭。
    清拭用(医療機器表面)の
    消毒薬には消毒用エタノール
    70%イソプロパノール、ミルトンなどがあります。
    アルコールに不向きな機器もある
    為、機器の材質により消毒薬を選択します。
    吸引器の種類により取り扱い方は異なります。

    ●鑷子(ピンセット)
    鑷子を使用した場合は洗剤と水道水で洗浄。
    一度使用した鑷子は滅菌してから再利用します。
    家庭での滅菌は難しいと思います
    ので通常は訪問看護師などに依頼します。
    鑷子立てを利用している場合は、
    鑷子立てが汚染された場合は洗浄しておく。
    滅菌された鑷子立てには、使用した鑷子は入れません。

    各自治体、医療機関や訪問看護
    ステーション等により貸出可能
    な医療機器は多少異なります。


    ◆次回への準備
    ●洗浄した吸引瓶(排液瓶)内に消毒液を入れておく
    水道水を入れたり、乾燥させて
    何も入れない場合もあるようです。

    ●滅菌水や消毒薬の確認と補充
    滅菌コップには未だ入れずに
    ボトル内の確認だけします。


◇参考文献
書籍
「最新医学大辞典(医歯薬出版株式会社)
「ナース必携最新基本手技AtoZ」EXPERT・NURSE  小学館
「写真でわかる基礎看護技術① 看護技術を基礎から理解!」インターメディカ 
「家庭医学大百科」主婦の友社

インターネット
厚生労働省HP
2.喀痰の吸引
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/shougaishahukushi/
kaigosyokuin/dl/text_03.pdf