静脈切開(カットダウン)


現在では静脈留置針が発達したため、
静脈切開は少なくなってきています。

◆静脈切開の目的

末梢での通常の血管確保が難しい場合。
中心静脈カテーテルや心臓カテーテル等
を挿入する方法の一つ。

◆静脈切開の必要物品 例

静脈カテーテル、点滴セット、輸液、
滅菌手袋、静脈切開セット、
消毒液(綿球)、鑷子、膿盆、
局所麻酔薬 など

▼静脈切開セット内容 例

セッシ、滅菌ゴム手袋、穴あき布、
局所麻酔薬、メスの刃(皮膚用と血管用)
絹糸、持針器、小筋鉤、モスキート無鈎
(直、反)など


◆医師の手順 例

担当医師や医療機関等により手順が異なる
場合もあります。
ここでは末梢の血管確保時の手順の例を
まとめています。


①滅菌ゴム手袋を着用

②静脈切開セットを開く

③切開する部位を消毒

静脈切開セットは、滅菌されているので、
滅菌のゴム手を着用してセット内のセッシ
を使用して消毒します。
ゴム手を着用する前に消毒をする場合は、
セット以外のセッシを使用します。


④穴あき布で覆う

術野(消毒部位)が中央にくるように覆います。


⑤局所麻酔

⑥皮膚を切開

皮下組織が露出するまで切開


⑦静脈を剥離

⑧静脈の末梢側を結紮

血液の流出を避けるため。


⑨中枢側(心臓に近い方)に糸を通して
静脈を吊り上げる

⑩血管用のメスで静脈を切開

⑪モスキート鉗子で切開部分を
把持して、カテーテルを挿入

カテーテル内は生理食塩水などで前もって
満たしておく。


⑫カテーテルを⑨の糸で血管と一緒に結紮

⑬末梢側で結紮していた糸を緩めて、
カテーテルに回して結びつける

⑭切開した皮膚を縫合する

⑮縫合した部分を消毒してガーゼ等を
あて、テープで固定する


◆看護師の医師への補助手順 例

担当医師や医療機関などにより、必要物品
や手順が異なる場合もあります。
ここでは、看護師は滅菌手袋を着用しない
場合を想定しています。


必要物品の準備と確認

静脈切開セット、消毒液(綿球)、鑷子
膿盆、局所麻酔薬等の必要物品の準備と
確認をします。

 
②患者さんに説明

③滅菌手袋の着用介助
医師に滅菌ゴム手袋を着用し易いように
開封しておきます。
ドクター自身で着用する場合もあります
が看護師が着用させる場合もあります。


④静脈切開セットを開封

ドクターに滅菌部分(布で覆われている
部分)を持って出してもらう。


⑤消毒の介助

消毒液に浸した綿球を、準備しておいた
滅菌セッシで渡します。
ドクターが消毒をして、穴あき布で覆います。


⑥局所麻酔の介助

準備しておいた局所麻酔薬をドクターに
注射器で吸引してもらいます。
ドクターの滅菌手袋に触れない様に注意します。
ドクターが麻酔をして、皮膚と静脈を切開します。


⑦点滴ルートの準備

点滴セットのルート内を輸液で満たしておきます。


⑧カテーテルと点滴チューブを接続

静脈内にカテーテルが挿入されたら、
点滴チューブにつなぎます。
落下の確認と速度の調節をします。


⑨縫合部の消毒の介助

医師が縫合を終えたら消毒をしますので
綿球を渡します。
滅菌の鑷子で、消毒薬に浸した綿球を
わたします。


⑩縫合部の保護

滅菌ガーゼなどで縫合部(カテーテル挿
入部)を保護します。


⑪後片付け

ナースは滅菌手袋をしていませんので、
静脈切開セット内に触れない様に注意します。
滅菌手袋をして介助する場合は、外回り
の看護師が必要になります。


実施中は常に患者さんへの声掛けや観察をします。






◇参考文献
書籍
医学大辞典(医歯薬出版株式会社)
エキスパートナース「最新基本技術AtoZ(小学館)
フィジカルアセスメント ナースに必要な診断の知識と技術第4版(医学書院)
 
インターネット
ウィキペディア


最終更新日 2018年12月