P波について

◆P波の意味
心電図上で最初に描かれる波になります。
両心房の収縮を表しています。
右心房が先に収縮して、その後左心房が
収縮します。
その為、P波の前部分が右心房、後部分
が左心房の興奮を表しています。

◆P波の形
P波にはいろいろな形があります。
上向きの波、下向きの波、上向きと下向
きが合わさった二相性の波、峰が2つに
分裂した二峰性の波、頂点が尖った波、
平坦な波などがあります。

二相性の波には、最初に上向きその後下向
きの波と、最初に下向きその後上向きの波があります。



◆正常なP波
幅(時間・秒)
(標準スピード1秒間に25㎜の場合)
0.06~0.10秒
記録用紙の横の長さでは、
1.5mm ~ 2.5mm
*1mm は 0.04秒

右心房の興奮の始まりから、左心房の
興奮が終わるまでの時間になります。
左心房は右心房より0.03秒ほど遅れて興奮します。
波形の前1/3は右心房の興奮、
中央1/3は両心房の興奮、
後1/3は左心房の興奮を表しています。

高さ(振幅・電圧・mV)
(標準電圧1mV=10mmの場合)
0.25mV以下
記録用紙の縦の長さでは、2.5mm以下
*1mm は 0.1mV

☆P波は通常、第Ⅱ誘導で計測。


◆P波の向き
aVRの誘導では下向き(陰性)
aVR以外の誘導では上向きの場合が多い

V1の誘導では、前部分は上向き、後部分は
下向きの二相性の波。


P波の詳細波形
P波は開始から1/3は右心房の興奮、
中央1/3は両心房の興奮、後ろ1/3は
左心房の興奮を表わしている為、実際は
3つの峰に分かれています。
心電図の記録時の紙送り速度は1秒間に
25mmが標準になっています。
標準速度で記録する場合は、ひとつの山
として記録されます。
標準速度より早い100mmで記録した
場合は、P波は3つの峰に分かれて記録されます。

心電図を記録する速さと感度
記録用紙の標準的なスピードは、1秒間
に25㎜です。
横の目盛が時間を表しており一番小さい
目盛 1mm は 0.04秒になります。
電位の大きさ(上下方向のフレ)は、
1mV=10mm が標準になっています。
縦の目盛が電圧を表しており一番小さい
目盛 1mm は 0.1mVになります。

波形の向きの表現方法
上向きのフレを陽性
下向きのフレを陰性又は逆転
フレが正常よりも低い時は平低
陽性と陰性の両方が存在する時は二相性
峰が2つに分裂している場合は二峰性
尖った波を尖鋭(QRS波以外)

Q波、R波、S波は先の尖った波が正常波形になります。
その他のP波、T波、U波はなだらかな波が正常波形になります。
陽性、陰性の基準は、基線より上か下かになります。
基線は通常、P波の始点から次のP波の
始点を結んだ線になります。


続きはこちらです→ QRS群(QRS波)について






心電図項目一覧


◇参考文献
書籍
「心電図・ナースのためのワークブック」金芳堂
「ナース必携最新基本手技AtoZ」EXPERT・NURSE 保存版 小学館
「ナース必携・心電図マニュアル」 臨時増刊号 保存版 小学館
「写真でわかる基礎看護技術②」株式会社インターメディカ
「最新医学大辞典」医歯薬出版株式会社

インターネット
ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/心電図