胃瘻カテーテル(チューブ)について

名称はメーカーによって多少異なります。

◆胃瘻カテーテル(チューブ)の構造と役割 
胃瘻カテーテルは胃内固定板、カテーテル
本体(シャフト等)、体外固定板、注入口
(接続口)、注入口のキャップ等から構成されています。
種類によっては一方弁(バルンの注水口)
逆流防止弁、減圧口等が付いている胃瘻
カテーテルもあります。

胃瘻カテーテルは胃瘻を増設する時に使用
するカテーテルと交換用のカテーテルが
ありますが、構造や役割は同じです。

固定板は他にもストッパーやバンパーと
呼ばれることもありますがバンパーは胃瘻
カテーテルの種類にもあるため、固定板や
ストッパーの呼び方のほうがわかりやすい
様な気がします。
ここでは固定板で統一しています。

固定板の「ばん」に使用される漢字には
板と版、どちらも使われているようです。
ここでは「板」の漢字を使用しています。

●固定板の役割
固定板には胃内固定板と体外固定板があります。

胃内固定板は胃瘻カテーテルの先に位置
しており、胃内で胃瘻カテーテル本体が
体外へ抜けない様にする役割があります

体外固定板は腹部の体表面に位置して
おり、カテーテル本体の移動を抑制し、
体内へ埋没するのを防いでいます。

胃瘻を造設してから胃瘻が完成する迄の
間は、胃内固定板と体外固定板で胃壁と
腹壁を挟んで固定させることで分離を防いでいます。

胃瘻が完成した後はカテーテルの移動に
余裕をもたせ、皮膚や粘膜などの損傷を防ぎます。

固定する時の牽引が強いと固定板の埋没の
リスクが高くなります。又、皮膚や粘膜を
損傷するリスクもあります。

●カテーテル本体(シャフト等)
瘻孔がふさがれない様にする役割があります。
胃瘻カテーテルが抜けると24時間以内で
瘻孔が閉じるようです。2~3時間後に
閉塞が始まり、5時間程度で完全に閉塞する場合もある様です。

栄養や水分、薬剤などの投与経路になります。
カテーテル本体を通して栄養剤や水分、
薬液などを胃内に注入します。
胃内に溜まったガスを体外へ出す経路にもなります。

チューブ型の胃瘻カテーテルの場合は、
体表面に露出している部分は栄養補給等
の時に必要になる接続管の役割も兼ねています。
胃瘻カテーテルがボタン型の場合は、栄養
補給等の時に使用する接続管が必要になります。

●注入口(接続口)、注入口のキャップ
カテーテル本体の体表面に露出している
部分に位置し、栄養剤等を注入する時の
接続部分。
注入等で処置しているとき以外は注入口
はキャップで塞いでおきます。
フィーディングポートと呼ばれることもあります。

●一方弁(バルブ)
胃内固定板がバルン型の胃瘻カテーテル
の注入口の側面等に付いてます。
一方弁の口にシリンジを接続してバルン
を膨らませたり、縮めたりします。
留置する時は通常は滅菌蒸留水等を注入
して膨らませます。
バルンインフレーションポートと呼ばれることもあります。

●逆流防止弁
栄養剤などや胃内容物が逆流しない様に
する役割があります。
一方弁になっている為、接続口側からの
圧力で開き、胃内からの圧力では開きません。
ボタン型の胃瘻カテーテルに付いています。
逆流防止弁の位置は種類などにより異なります。
体外固定板の接続口内や胃内固定板内の
カテーテルの入り口に位置しているもの
などがあります。

胃瘻カテーテルの種類により逆流防止弁が
ないものもあります。


◆付属品の構造と役割
*メーカーなどにより呼称は異なります。

●接続チューブ
接続チューブは栄養剤等を注入する時に
必要になる管になります。
体外固定板がボタン型の時に使用されます。
注入口(接続口)に接続して使用します。
フィーディングチューブ、栄養投与用
接続チューブなどとも呼ばれることも。
減圧チューブと兼用しているメーカーもあります。

●減圧チューブ
消化管内の減圧(胃内等に溜まったガス等
を体外へ排出する)時に使用されます。
体外固定板がボタン型の時に使用されます。
注入口(接続口)に接続して使用します。
接続チューブと兼用しているメーカーもあります。
主にボタン式の胃瘻カテーテルを使用
している時に、減圧チューブを接続して
胃や腸に溜まったガス等を排出し、圧を軽減します。
ボタン式の胃瘻カテーテルには逆流防止
弁が付いていることが多く逆流防止弁を
開放する専用の減圧チューブが必要になります。

減圧用の開口部について
胃内に溜まったガスは胃瘻本体の管から
排出されます。
栄養剤を胃内に直接注入している時は
排出されません。
胃内への注入ではなく、空腸内に直接、
栄養を注入する経胃瘻的空腸栄養で
ダブルルーメン(ルートが2つ)やトリプル
ルーメン(ルートが3つ)を使用している時
には注入と減圧を同時に行えます。
細いチューブを胃瘻カテーテルを通して
空腸内に挿入した管に栄養剤を注入して
いるときになります。
経胃瘻的空腸栄養には単管(シングルルー
メン)と複管の栄養チューブがあります

ダブルルーメンを使用する時は栄養剤は
胃瘻カテーテルから通した細い管から
投与され胃内に挿入されている胃瘻カテ
ーテル本体から胃内に溜まったガスが排出されます。
トリプルルーメンの場合は、胃内を通る
栄養チューブに減圧用の孔があり減圧用
の開口部に通じています。
メインのルート内は栄養剤等の通り道になります。




胃瘻 項目一覧


◇参考文献
書籍
PEG(胃瘻)栄養・適切な栄養管理を行うために 改訂版フジメディカル出版 2009
p41-p45 p52 p53 p59-p62
胃瘻PEG合併症の看護と固形化栄養の実践 日総研 2007
p23-p35
実践できる在宅看護技術ガイド」(学研)2013年
p24 p90
介護職員等のための医療的ケア 喀痰吸引・経管栄養等の研修テキスト ミネルヴァ書房 2013年
p117

インターネット
厚生労働省サイト内
バラード MIC 栄養チューブ バルーン型
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001of2m-att/2r9852000001ofq7.pdf

PEGドクターネットワークサイト内
胃ろう(PEG)とは?
https://www.peg.or.jp/eiyou/peg/about.html
カテーテルの種類と交換
https://www.peg.or.jp/lecture/peg/04-01.html
バンパー・チューブ型 造設・交換キット製品一覧
https://www.peg.or.jp/lecture/peg/product/bp-tb.php

花子のまとめノートサイト内
PEG(胃瘻)の基本と看護ケア
https://www.hanakonote.com/kango/peg.html

クリエートメディック株式会社サイト内 バルーン型
https://www.createmedic.co.jp/files/user/general/pdf/manual_peg_j.pdf

ニプロサイト内(添付文書)バルーン型
http://med.nipro.co.jp/attach_list?id=a1U1000000b532iEAA

富士システムズ株式会社サイト内 バルーン型
http://www.fujisys.co.jp/?page_id=5745
胃瘻バルーンカテーテル添付文書
ボタン型の胃瘻カテーテル
http://www.fujisys.co.jp/wp-content/uploads/2018/04/H-2743.pdf
チューブ型の胃瘻カテーテル
http://www.fujisys.co.jp/wp-content/uploads/2014/04/H-19911.2801.pdf
経胃瘻的空腸栄養時のジェジュナルボタン
http://www.fujisys.co.jp/wp-content/uploads/2014/04/H-23012.pdf
カタログ バルーン型
https://c-lay.meclib.jp/FUJI115/book/#target/page_no=63
http://www.fujisys.co.jp/wp-content/uploads/2014/04/001jetpeg_cat0107m.pdf

株式会社トップサイト内
アイボタンR添付文書 バンパー型
https://www.top-tokyo.co.jp/medical/pdf/2X0920_4.pdf

株式会社メディカルセミナーズサイト内
http://medisemi.com/books/%EF%BC%92%EF%BC%89%E7%9F%A5%E
3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%A6%E8%89%AF%E3%81%8B%E3%81%A3%E3%81%9F.pdf

国立長寿医療研究センター 臨床工学部ブログ内
http://blog.livedoor.jp/ncgg_me/archives/50308624.html